東京のたい焼き ほぼ百匹手帖

2014年09月28日

ばかうま黄金鯛焼 総本家【駒込@山手線】

     
 
たい焼きを買いに駒込に来た。

東口改札を出るとそこはガード下。
右に折れた先のアザレア通りのゲートを潜り、
ほんの数歩進んだ先に「ばかうま黄金鯛焼 総本家」がある。

黒橡色の板壁は今だ真新しく輝き、
そこに白地の看板と説明書きがクッキリ目立つ。
正面に開かれたガラス窓と出入り口には各々、
大きさが異なる紅色が鮮やかな暖簾が提げられている。
その和風に統一された店舗の頭上に、
「ばかうま黄金鯛焼 総本家」と記された看板を頂いている。

読み方は“おうごん”なのか“こがね”なのか分からないが、
先だって訪れた“黄金”一派とは関連はなさそうで、
何よりも“総本家”と謳っている事からもソレは窺える。

何はともあれ“総本家”。
これから新たなたい焼きの歴史がココから始まるのかと、
感慨深く人様の店舗をマジマジ眺め、
開店直後の店内へ本日一人目の客として、
脇に胡蝶蘭がポツンと置かれた出入り口より踏み入る。

奥に細長い造りの店内には3名の店員さん。
若いお兄さん方が意気軒昂な様で出迎えてくれる。
アザレア通りに向いたガラス窓に設えた焼き型前で
たい焼きを焼き上げる店員さんの視線の先に、
今まさに焼き上がり間近のたい焼きが香ばしい香りを放っている。

店内を分断する仕切りに沿って、
中ほどにはカウンターと会計口が設けられ、
アズキとザラメの見本が置かれている。
その調理場側にある保温ケースには既に数尾のたい焼きが並び、
店員さんが出荷の準備を進めている。

早速注文を願おうと紅い暖簾の向こうの店員さんに声を掛ける。
只今“開店一か月目のお客様感謝キャンペーン”との事で、
一匹無料で進呈中との事で店員さんが笑顔で商品の選択を促す。
当然に“小倉餡”をお願いする。
店員さんは数秒の固着の後に再び笑顔を取り戻し対応。
全ての準備にあと1分程度掛かりますとの事で、
壁側に並べられた木製の丸椅子に腰掛けて待つ事に。

その間に勧められたカウンター隅に置かれたお茶を頂き、
開店僅か一か月の真新しく至る所がピカピカな店内を眺める。
焼き場の店員さんが一番若い店員さんに、
そろそろ焼いてみるか?と声を掛ける。
若い店員さんは興味ありげな反応で返事を返す。
それを笑顔で眺めながら年長の店員さんが、
会計口脇で一つ一つたい焼きを丁寧に小袋に入れていく。
大変和気藹々とした新しい店の雰囲気が充満した店内は、
一種独特の雰囲気を周りに醸し出す。

それは例えるなら、
新婚家庭に不意にお邪魔してしまい何故か朝食までよばれ、
夫婦で朝食準備を始める仲睦まじい姿をボケっと眺め、
超絶的に手持ち無沙汰な状況にポツンと置かれた感。

客も自分一人だしその状況に陥るのも致し方なしと、
孤独と戯れながら店内の張り紙などを読み耽り、
“北海道産厳選小豆100%使用”や、
“直火銅窯練餡”に並んで特に異彩を放つ、
“モンドセレクション3年連続受賞 純度99.9%の鬼ザラメ”という、
未知との遭遇を果たして時間をやり過ごしていたら、
ふらりと本日二人目のお客さんとしておじいさんが来店。

おじいさんは興味深げに店内を見回して、
ココがたい焼き屋になっていた事を知らなかったと、
紅い暖簾に視線を向けて独り呟いていた。
会計口傍の店員さんはおじいさんに向けて接客開始。
しかしおじいさんは何処までもマイペースに独りごちている。

そんな中で商品の梱包を終えたのを見計らい、
カウンターへ寄り会計を済ませて商品を受け取る頃に、
おじいさんは商品の選択を決めた様子。

コチラにじっと視線を向けて佇んでいる中で、
店員さんに礼を述べておじいさんの横をすり抜けて外に出る。
すぐ先の十字路にある有名和菓子店の向かいの、
薬局の店先の配電施設上で荷を整えた後にたい焼きを手に取る。

ザラッとした触感の表面は張りがあり、
縁にはマチマチの幅のバリが取り囲んでいる。
それを指で折ってみる。
パキンと割れたソレを口に放り込む。

ガリガリと噛み砕く度に芳ばしい香りを放つ。
次いで皮に噛り付く。
グニッとした食感とモチリとした歯応えの皮は薄く、
喰らい付いて引き千切ればブチッと切れ、
乾いた外側の触感とは程遠いが多分に生き生きとした印象。

その薄くほんのり甘味が漂う皮に包まれた餡は、
しっかりと甘いのに過剰ではなく、
最初の印象のまま口内で留まって香りを放つ。
柔らかくトロリとしていながら噛み口から溢れる事無く、
何時までも皮と共にありながら、
皮に絡み付いて強烈な存在感を発揮し、
颯爽と胃袋へと退場して行く引き際の見事な餡。
この引き際が“モンドセレクション3年連続受賞”の真価なのか。

食べ終えたたい焼きの事を何時までも考えつつ駒込を徘徊後、
帰路に着くため通り過ぎた「ばかうま黄金鯛焼 総本家」前で、
店員さんが板にたい焼きを乗せ通行人に振る舞っている。
たい焼きの試食という中々珍しい光景を目の当たりにして、
その熱意で真の“総本家”となる日が来ることを切に願い、
再び駒込駅東口の細い高架下を潜る。

価   格○小倉餡 140円
住   所○東京都北区中里1-6-4 ラ・ガール駒込1F
営業時間○10:00〜21:00
 
   
  

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2014年09月21日

薄皮たい焼 銀のあん 日野駅店【日野@中央本線】

     
 
たい焼きを買いに日野に来た。

ホームから改札へ向かう階段の踊り場付近で、
既に芳ばしい香りが漂っている。
やがて改札口手前の階段に差し掛かる頃には、
目の前右手端に「薄皮たい焼 銀のあん 日野駅店」が見えて来る。

平屋の古風な駅舎の一画にまるで専用に設えた様に建つ店舗は、
都道256号線の貫く日野駅前交差点のT字路にあり、
駅舎の屋根に乗っかった駅名を記した看板の其の軒下に、
これまた威風堂々と「銀のあん」の看板を掲げている。

その下になが〜く開かれたガラス窓には併せて、
白くなが〜い暖簾を提げた外見が最早、
この「薄皮たい焼 銀のあん 日野駅店」の店舗を、
日野駅が間借りしている様な錯覚に陥らせるに至る。

其れも此れも日野駅の古風な駅舎が、
たい焼きとの親和性を高めた挙句に、
風情ある看板と暖簾を掲げた「銀のあん」の印象の方が、
全てに於いて有利な方向へと働き、
一般的JR線の看板を掲げただけの日野駅を、
いともアッサリと上回ってしまったが為に起きた誤解であろう。

まあ、実際には旧字体で“日野驛”と記して、
軒下に小さい板看板を掲げてはいるのだが、
如何せん目立っていないという現実。

普通の駅なら券売機でも置いてあるであろう場所である。
そんな一等地を貸し出す日野駅の懐の深さに感服しつつ、
長い店舗の角にある会計口に近寄る。
その長いガラス窓に沿って並ぶ焼き型の壮観さが見事で、
おじさんとおねえさんが其の前を右へ左へと行き交う。

今「銀のあん」といえば“クロワッサンたい焼”が主力商品。
「銀のあん」と名が付けば確実に“クロワッサンたい焼”が売られ、
それが今や巷の話題となり各店舗連日の大盛況で、
それを見越してカフェ展開に方向転換をして店舗を作り変えていく程。

そんな中でも普通のたい焼きを扱うのは色々大変であろうが、
そんな意味ではココ「薄皮たい焼 銀のあん 日野駅店」は、
普通のたい焼きを求める客にとっては大変有難い店舗である。

その様な普通の“薄皮たい焼”が会計口下の保温ケースに、
ズラリと街道沿いに正面向きで直立にズラリと並んでいる。
羽根が付いている訳でも無いのに直立で並ぶたい焼きに、
かなりの関心を持ちつつ会計口前に立つ。

会計口におじさんが近づいてきたので注文をお願いする。
おじさんはキビキビとした所作でたい焼きの梱包を始める。
その間店内を眺めるとおねえさんは焼き型前に、
一人ポツンと佇み焼き型をジッと眺めている。
見渡してみると現在の主力商品たる“クロワッサンたい焼”は無い。
此れから始まるのかと興味津々で見ていると、
会計口後ろが開かれ中から一人また店員さんが現れた。

これで店内は男性2人に女性が1人。
ドリカムだな。
と、今時その表現は如何なモノかという感想が浮かび、
其の余りにも錆びついた己の思考に愕然とする中、
おじさんは商品を詰め終えた袋をコチラに差し出す。
未だに引きずる粗末な思考の後ろめたさに一人恥じ入り、
居た堪れなくなり始めたので急ぎ支払を済ませて其の場を後にする。

逃げるようにやって来たのは日野駅東口広場。
ベンチが連なるうちにある日除けに身を隠して先ずは荷の整理。
急ぎ取り出した未だ熱々のたい焼きは、
まるで軽石でも持ったような手触りの上にズシリと重い。
その蜜蝋で固めた様な外見のかなり具象性の高いたい焼きは、
流れ出た生地の形状もそのままで焼き上がり、
それは生地の粘度が高く水分量が少ないこと示している。
そんなカリカリの表面を爪で弾きながら、
日除けの端で黄色い花束を抱えたおばさんの横で齧る。

固い。
表面の其の質感たるや驚異の硬度で歯を打ち、
ガリッともゴリッともボリッと幾多の表現が可能。
それでいて噛み砕けばボロボロと容易く崩れ去る皮は、
洋菓子でも和菓子でも無い風変りな味わい。
生地自体に甘味があれば洋菓子にもなるのであろうが、
あるのは粉が焼けた芳ばしい風味とほんの薄ボンヤリとした甘味。

かと言って和菓子というには前代未聞の歯応えの皮で、
そもそもこの皮は菓子というカテゴリに成るのかどうかも疑わしい。
そうなると此の物体を“薄皮たい焼”という菓子として成り立たせるのは、
中に詰まったタップリの餡という事になるのだろう。

その全権を託された餡は水分が少ないホクホクとした炊き上がりで、
たい焼きを噛み千切れば餡がホロホロと口内に零れ落ちる。
この状態は餡を“炊いた”というよりは“蒸かした”に近い。
そして水分は最低限の量でいて甘味はシッカリとしていて、
この餡の甘味と風味によってこの物体が和菓子と判断できる。
そのくせ皮の異常な存在感が口内のアチコチで主張を繰り返し、
この組み合わせを以て此れがたい焼きであると最終確認する。

そんなたい焼きをボリボリと食べながら、
広場と呼ぶには些か手狭な空間をぐるりと眺める。
やたらと花束を持っている人が多いのは寺院が近いからかと、
斜向かい奥に見える白壁と奥に生い茂る木々を眺めながら思う。
彼岸ともなればオハギか。
確かにオハギも捨てがたい魅力があると、
買い求め彷徨う日曜日であった。

価   格○あずき 150円
住   所○東京都日野市大坂上1-9-6
営業時間○10:00〜21:00
 
   
  

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2014年09月14日

夢ある街のたいやき屋さん 原町田店【町田@小田急小田原線】

     
 
たい焼きを買いに町田に来た。

東口を出て町田街道を右折して進んだ先、
原町田中央通り交差点辺りから幸町商店会に突入する。
その交差点を渡った先の2本目の右折路を曲がって、
ターミナルロードへ向かう途中で営業するのが、
「夢ある街のたいやき屋さん 原町田店」である。

先に訪れた「おめで鯛焼き本舗」「ゑびす黄金鯛焼き本舗」に続く、
株式会社ジェーシー・コムサ運営のたい焼き店は、
細い路地の一画に場違いな程のほのぼのした看板を掲げ、
路地に面した店頭部分に片っ端から品書きを張り付け、
三面ある引き戸の一面だけを開けて営業をしている。

店頭に立って品書きを眺めると、
既出の2店舗とは明らかに異なる品揃えが目につく。
その特徴は冷菓の品揃えの豊富さで、
今や定番の冷たい鯛焼きや王道のソフトクリームの他に、
10種類以上の品揃えを誇るタピオカドリンクが一際際立つ。

挙句このタピオカドリンクが期間限定で、
表示価格より100円引きともなれば、
この圧倒的な物量とサービスも相まって、
店頭脇に立てられた“ソーセージたい焼き”の朱い幟も
同様に本家を謳った“お好み鯛焼き”の臙脂の幟も、
今は風に虚しくはためくだけである。

そんな後塵を拝するたい焼き達の気持ちを慮るにつれ、
怪しうこそ物狂ほしけれと突如“徒然草”な心境に陥る。
そんな沈んだ気持ちを鼓舞して店内へと足を踏み入れる。

入った直ぐの正面にガラスの仕切と会計口。
ガラスの仕切の手前に冷たいたい焼きのサンプルが並び、
仕切の奥には紙の小袋がズラリと並び、
その更に奥にたい焼きの焼き型が設えられている。

今現在焼き型にはたい焼きの姿は無く、
先ずは開店準備は完了した様子。
店の大半を占める調理場にはおじさんが御一人、
入って来た客に向けて早速営業を開始する。

早速注文をお願いする。
おじさんが商品を揃える間は何時も通り店内を眺め待つ。
取り扱っているたい焼きの種類は、
先週の「ゑびす黄金鯛焼き本舗」と同様で想定内で、
矢張りソーセージのたい焼きの力強い存在感が堪らない。
ソフトクリームの品揃えも中々に豊富で、
そこいらのフードコートにも負けないラインナップである。

やがて袋に詰められたたい焼き達の準備は整い、
支払を済ませ荷を受け取りおじさんに礼を述べて外路へ出ると、
店先ではタピオカドリンクの品書きの前に佇むお嬢さん方。
一声かけて間をすり抜け向かいのTIP'Sビルのエントランスへ、
地下へ行く階段の横壁に荷を下ろし急ぎ袋を開けて、
白い小袋に包まれて尚熱気を放ち続けるたい焼きを取り出す。

ズシリと重い。
ふっくらと厚ぼったい体躯のたい焼きは、
矢張りニッコリと微笑んだ顔で、
当然身体の各々の面に“昇運”“招福”の文字を纏っている。
しかし先週の「ゑびす黄金鯛焼き本舗」と違って、
コチラの「夢ある街のたいやき屋さん」のたい焼きは、
表面がカリカリと焼き上がった皮に包まれて、
指に沈み込む事も無くパリッと張って手の中に居る。

不意に向けた視線の先、
「夢ある街のたいやき屋さん 原町田店」の店先では、
タピオカドリンクの前で今尚6人のお嬢さん方により、
白熱の論議が繰り広げられている様子である。
そんな光景を眺めながら一口齧る。
意外に皮が薄い。
それに生地自体に弾力がある上、、
表面と縁の火が通った個所はガリガリとした食感もある。
皮其の物が既に焼菓子然としている。

そして最初に感じた重みの正体、
その根源は大量の粒餡。
ふくよかなたい焼きの体内にシコタマ仕込まれた餡が、
粒立ちも良く食べるごとにはみ出してくる。
拡がるアズキの香りが鼻腔を抜けて漏れ出す頃、
粘度が高く保持力の強い甘さ控えめの粒餡が、
一斉に流れ出す事も無く皮の狭間で喰い止まり、
たい焼きの継ぎ目を破り顔を覗かせる。
零れ落ちてしまう前に食べ尽くすべくたい焼きを貪る。
惨事を未然に防いだたい焼きは尾びれを残すのみとなり、
丸ごと口の中に放り込んで余韻と残り香を噛み締める。
店頭にはお嬢さん方がタピオカドリンクを手に歓談中で、
入れ替わりで親子連れが店内へ吸い込まれて行く。
ぶり返した暑さに虚しく揺れるたい焼きの幟を眺めつつ、
秋祭りで賑わう商店街を駅へ向かって歩き出す。

価   格○つぶあん 140円
住   所○東京都国分寺市南町3-20-3 国分寺マルイB1F
営業時間○10:00〜20:30
       無休
 
   
  

posted by EY at 21:34| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 町田市のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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