東京のたい焼き ほぼ百匹手帖

2014年12月28日

文左亭 本羽田萩中店【糀谷@京急空港線】

     
 
たい焼きを買いに糀谷に来た。

中央口から出て右折した直ぐの高架を潜って、
道なりに行くと環八通りに出る。
そこの糀谷駅前交差点を渡り又も道なりに真っ直ぐ行き、
3本目の十字路を左折して進んだ小学校の向い。
さびついた鉄骨が良い具合に寂れた感じを醸し出し、
更に道路に面した壁に矢鱈に巨大な文字看板が貼り付いた
ホームセンターコーナン本羽田萩中店の中に、
目指す「文左亭 本羽田萩中店」がある。

ホームセンターコーナン本羽田萩中店の敷地に入り、
メインの入り口を目指し奥へと進んでいくと、
園芸用品が並ぶ軒先で野菜の苗などに囲まれてて、
ポツンと一軒の漁師小屋の様な売店がある。
まさにソコが「文左亭 本羽田萩中店」であり、
一瞬の迷いも生じさせる事無く到着出来る好立地にあって、
数多の園芸用品の合間で色とりどりの幟をはためかせている。

大きく迫り出した軒の先には幾つか円卓が並べられ、
その軒下で黒い外装で覆われた店内では今、
そこかしこから立ち昇る蒸気の中でおばさんが独り奮闘中で、
店先で棒立ちの輩には目もくれず商品の準備に追われている。

店舗看板に大きく記しているのだから“団子”が自慢なのだろう、
その店頭には“団子”を始め数多並ぶ餅製品がズラリ並び、
その他にフードコートの定番である“たこ焼き”は勿論の事、
近年日本ファストフードの主役“讃岐うどん”も販売されている。

そしてそのラインナップに堂々たい焼きが肩を並べているのだが、
今の所店頭に設えられた保温ケースにはその姿は見られない。
いち早く購入したいのはヤマヤマなのだが、
店のカウンターに恭しく置かれた“支度中”の札がソレを許さない。
ソモソモ「文左亭 本羽田萩中店」の店先には
開店時間を告知するモノが見当たらず、
店の周りをくまなく観察してみてもその痕跡は無い。
現時刻が午前9時半という事と店内のおばさんの忙しさから、
開店は午前10時位かなと勝手に判断した後に、
ならば早速時間潰しをしましょうと
先ずは店内のペットショップへと足を運ぶ。

そんな動機で入店した店舗の直ぐ脇にはコーヒーショップがあった。
その「CAFE CANADIAN PAO」という名前の店も開店はしてないが、
その封鎖された入り口前の立て看板にはたい焼きの写真があった。

コレは一体どう云う事かとジッと看板を眺めた後に、
更に検索を掛けて判った事は先ほどの店外で支度中の「文左亭」と、
コチラ店内で準備中「CAFE CANADIAN PAO」は、
同じ系列のグループ店舗と言う事らしい。
つまりホームセンターの内と外で営業形態を変えて商いをして、
広い客のニーズや状況の変化に柔軟に対応している訳である。
その販売戦略に感心しつつもコチラの店舗もまた、
営業時間の記載がされていないと云う姿勢に、
もしや何かの意図があるのかと散々思い巡らすも結論には至らず、
一先ずは小さな毛玉達が集まる一角へと急ぐ。

しばし眺めた毛玉達の愛くるしさにスッカリ癒された心持ちのまま、
様子見も兼ねて「文左亭 本羽田萩中店」引き返してみると、
店先には2人連れの客がいて何かを購入している。
時刻は9時45分過ぎ。
店先のカウンターには今も“支度中”の札が立て掛けられていて、
保温ケースの中身はカラのままである。
しかし目の前では既に接客が行われている事を確認済みなので、
コチラもおばさんにたい焼きの販売状況を確認する。

たい焼き…

おばさんは静かに呟きながら目の前の焼き型に目を遣り、
コチラを僅かに見ながら再び静かに呟く。

小倉なら2分位で…

願ったり叶ったりなので早速注文をすると背後から声が上がる。

じゃあ私も小倉2つ!

振り返るといつの間にか後に付いておばあさんが並んでいて、
そのすぐ後にもお客が持っていた。
よく確認もせず有耶無耶のうちに注文が行われてしまい、
改めておばさんに営業時間を尋ねてみたかった所だが、
店内で独り忙しく働いているの邪魔するのも何なので、
今の所は午前9時45分ならたい焼きは買えると云う事を認識して、
只ひたすらにたい焼きが焼き上がるのを待つ事にする。

それまでの間に店頭の“団子”や“あげもち”を何気なく眺めいたら、
リピート率No.1でクセになる美味しさと謳われた、
団子をチョコレートでコーティングしたうえに、
更にカラースプレーが振られた“チョコマント”なる商品に、
視線が釘付けになり最早微動だにしない。
その柔軟すぎる発想と丸い形で串に刺さった茶色い球体の姿は、
最早年の瀬だというのにココに来て今年最大の衝撃を喰らい、
不意打ちでヘビー級の衝撃に叩きのめされた意識のまま、
おばさんから商品を受け取りフラフラと店舗脇の卓に腰を降ろす。

早速に荷を開けるとたい焼きが入れられた茶色の袋には、
“うす皮 しあわせたい焼 パリパリ”と記されてある。
どうやらこれが正式名称の様であるが、
見た限りではその様な表記は店舗の何処にも見当たらず、
色々と情報に漏れがあるのがこの店の特徴なのだと納得して、
アツアツの熱をその体表から放射し続けるヤツに早速齧り付く。

表面がカリカリに焼き上げられた皮は、
歯の先に伝わる感触も硬質でソコに一気に歯を立てれば、
食い込み押し潰れる度にニシニシと音を発ててサクサクと砕ける。
ソレを中で待ち受けるのが水気を含んだ、
フワフワでなおかつモチモチとした食感の生地で、
歯が打ち出す衝撃をふんわりと次々に受け止めていく。
店側が“うす皮”と言い張る程には薄く無いが、
その良い具合の厚みがこの歯応えと噛み応えを生んでいると云える。

その皮の歯応えを暫し堪能した後にニュルリと現れ出でるのが、
甘味はあっさりめだか風味はしっかりしている粒餡。
アツアツの熱に晒されて滑らかでもったり舌触りになり、
それが皮と一つとなった時に所々で顔を覗かせるアズキの皮もろ共、
ベト付く様な甘さとは無縁のままサラリと胃の中へ納まっていく。

冬の寒い朝にこそ存分に味わえる風味と歯応えに浸りつつ、
いつの間にか人だかりの出来た店先を眺め、
誰か“チョコマント”を購入しないかワクワクしながら待っているが、
皆一様にその前を素通りしてしまうこの事実。
それを遠くから眺める己自身が、
その心境を十二分に理解出来るのもまた事実である。

価   格○小倉あん 140円
住   所○東京都大田区本羽田2丁目3-1
営業時間○ホームセンターコーナンは9:00〜21:00
 
   
  

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2014年12月21日

おめで鯛焼き本舗 西調布店【西調布@京王線】

     
 
たい焼きを買いに西調布に来た。

改札を出て右手の階段を降りて前の道を右へ進む。
その先の交差点を品川通りに沿って左へ進んで行くと、
下石原2丁目交差点の傍に「おめで鯛焼き本舗 西調布店」がある。

開店は午前10時。
シャッターが下りている開店10分前の店頭に少女が一人。
早朝の凛とした空気の中で停めた自転車の傍に佇みながら、
コチラを気にする様子も無く黙々とスマートフォンを操作していた。

ここ最近では遭遇しなかった“先客がいる”という光景は、
いわゆる行列必至の人気有名店なら未だしも、
西調布という至ってマイナーな各駅停車しか止まらない私鉄駅で、
特に観光スポットも有名繁華街も無い長閑な街道沿いの、
東京では数店舗を数えるチェーン店のたい焼き店の店頭では、
まず滅多にお目に掛かれない光景である。

しかしよく見れば少女は店舗に背を向けて立っている。
この光景が意味する所は一体何なのかと、
その少し離れた然程緊張感が生まれない距離を持った場所に立ち、
その様子を気に掛けながらもコチラはたい焼き屋の開店を待つ。

少女の佇まいからは別段たい焼き屋の開店を待っている様子は無く、
とはいえ友人との待ち合わせ場所に選ぶ様な場所とも言えず、
もしやたい焼き屋の隣にある洋菓子店の開店街なのかと、
洋菓子屋の開店時間を調べると午前10時とあり、
店舗のガラス窓から窺える店内ではパティシエが目薬を差していた。

いや、それならばもう少し洋菓子店寄りで開店を待つだろう。
そもそもたい焼き店の店先は建物の影に成っていて肌寒く、
一方洋菓子店の店先には陽射しが当たり大変暖かである。
そうなるとやはりたい焼き屋待ちか?
それにしては余りの無関心さを目の前にして、
これがいわゆる“さとり世代”と云うヤツかと思っていたら、
店先のシャッターが勢いよく上がり、
中から店員さんが出て店先の装飾を始める。

店舗は焼き場が窺えるガラス窓と窓口が設けられたショーケース、
それと自動ドアの出入り口で構成されその両脇を赤い柱で締め、
その上部の看板には大きく「おめで鯛焼き本舗」と記されている。
店内には焼き型の前にもう一人店員さんがいる2人体制の様子で、
3つ並んだ6連式焼き型には半身のたい焼きが寝そべっており、
各々にカスタードクリームとキャベツの千切りを乗っけられていた。
その焼き型に並んで小さなたい焼きの焼き型が一台置かれていて、
焼き台の前には焼き上がったたい焼きを並べるスタンドがある。
そんな光景が垣間見える店先のありとあらゆる場所には、
定番商品や期間限定品等の各種ポスター類が貼られ、
その合間に季節柄のクリスマス系装飾が申し訳程度に施されている。

そんな開店準備で忙しい店先に居ながら、
件の少女は一向にソチラを気にする様子は微塵も無く、
相変わらず店舗に背を向けスマートフォンを注視している。
そんな様子をマジマジと眺めていたら、
店先に縁台を置いて開店準備を終えた店員さんに促されたが、
その段に成っても少女はコチラを振り返らず微動だにしない。
そうなって来るとこの“待つ少女”の目的に俄然興味が湧い来たが、
先ずは注文をお願いしようと店内に入って行く。

その店内は店先と負けず劣らずの雑多な貼物で溢れていて、
ソコにループで流れる微妙に覇気の無い歌声のBGMが混沌を生む。
注文を済ませるもレジ周りの用意が整い終えていない感じで、
2人の店員さんはアレコレと遣り取りをしている後ろでは歌声に加え、
何かの到来を伝えるアラームが鳴り響き、
結構広い調理場の混沌に加速が掛かる。
レジ周りの要件が済んで焼き場に戻った店員さんがアラームを切り、
店内が再びBGMで満たされる間に素早く箱詰めされたたい焼き。
先程の混沌ぶりと打って変わった素早さに驚きつつ支払を済ませ、
店員さんの声と繰り返されるBGMに送られて店を出ると、
ソコには相変わらずコチラに背を向けて少女が立っていた。

店舗脇の道を進みコインランドリーの店先は陽射しが暖かで、
ソコに設えられた縁台に腰掛け早速に開封する。
箱の中からふんわりと経木の芳香と共に立ち昇る甘い香り。
ソコからフカフカとした柔らかな触感のたい焼きを慎重に手に取り、
ホンワカと湯気が立ち上る頭部に速攻で齧り付く。
厚くフワフワの皮はほんのり甘くmilkyな香りを口内に漂わせ、
外も中フカフカのワッフルの様な洋式たい焼きである。
コレこそ店内に貼られていた「おめで鯛焼き本舗」の打ち出す、
冷めてもイケる戦略的柔らかさを持つたい焼きかと実感する。

ナルホド焼き上がりから柔らかくフワフワした皮ならば、
湿気った所でその影響は微々たるモノで、
パリパリとした固い皮が湿気って行く物悲しさを味わう事も無い。
最初から“お土産用”というコンセプトの元で販売しているので、
パリパリとした固い焼き上がりの皮を持つたい焼きが好みの客は、
そもそも買いに来る事も無いので難癖を付ける客も居ない訳である。
コレは実に見事な販売戦略であり大いなる英断と思える。

そのフカフカの厚い皮に包まれた餡は緩くトロトロして粘度が高く、
口に含めば一瞬で甘さが口内に広がるが直ぐにスッと収まっていく。
その大層引けの良い餡にはアズキの皮が多く混入していて、
甘さが引くのと併せて飲み込まれる際に、
舌の表面をザラザラと引っ掻いてその存在感を主張していく。
皮も餡も柔らかくその状態が何時までも続く様に、
工夫されたたい焼きは日向の陽射しの柔らかさにも負けて無いなと、
柔軟剤が香るコインランドリーの軒先で寛ぎながら思い耽る冬の朝。

そのまま縁側の猫宜しく寝てしまいそうな重い腰を上げ、
街道沿いへ出るとあの少女の姿はもう無かった。
脇にあった自転車も見当たらないので洋菓子屋にも、
ましてやたい焼き屋にも既に居らずに立ち去ったのであろう。
そんな少女の存在に終始囚われ続けた事に自嘲しながら、
たい焼き一番乗りの少女というある種のファンタジーを空想しつつ、
何時かそんな光景にお目に掛かれる事を願いながら帰路に着く。

価   格○つぶあん 140円
住   所○東京都調布市下石原3-31-1
営業時間○10:00〜19:00
 
   
  

posted by EY at 22:04| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 調布市のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月14日

築地銀だこ 西友西荻窪店【西荻窪@中央本線】

     
 
たい焼きを買いに西荻窪に来た。

北口に出たら左手にある西友西荻窪店内へ入って行き、
左手を一日中食料品と日用品を取り扱うフロア、
右手を専門店や店舗ブースに別けている通路を進んだ先、
小売店が並ぶ中に「築地銀だこ 西友西荻窪店」がある。

コチラの西友西荻窪店は年中無休の24時間営業だが、
流石に「築地銀だこ」は朝10時からの営業開始のタイムシフトで、
現在午前9時50分の店内では2名の女性店員さんが、
店名が示す看板商品である“たこ焼き”の調理を始めていた。
と云う事で通路に面した会計口に乗っかる保温ケースにも、
白地に“薄皮たい焼”と記した暖簾を提げたガラス窓の向こうに並ぶ、
3台の6連式焼き型にもたい焼きの姿は無い。
会計口には商品告知の卓上POPが無造作に並び置かれ、
頭上の商品写真の看板には明かりが入っておらず、
赤い「築地銀だこ」の看板は薄暗い天井近くに沈み込んでいる。

開店までの10分を日用品フロアをブラブラしながら時間を潰す。
余りにも安いセラミック包丁の切れ味を推測しながら、
シャープナーが付属して無い事の意味を推し量り考え込んでいると、
薄らデカい輩が眉間にシワを寄せながら包丁を睨み付ける様が、
余りに物騒な事に気が付き急ぎその場を離れる頃に、
時刻は午前10時辺りに差し掛かる。

薄暗い店舗周りと雑多な会計口は相変わらずだが、
たい焼きの焼き型には生地が入れられている事が確認できたので、
取りあえず会計口に立って見る事にする。
するとコチラから声を掛ける間も無く、
弾かれた様にマスクを付けた女性店員さんが会計口にやって来た。

たこ焼きですか!

挨拶の時必ず健康状態を大声で尋ねて来る、
プロレスの偉い人を思い出し直ぐに店員さんには否定した後、
たい焼きですと答えるとソレを受けた店員さんはすかさず返答する。

3分掛かります!

尚も継続されるテンションで切り返す店員さんに、
問題ありませんのでお願いしますと答えた後に枚数を指定すると、
店員さんは素早く焼き台へ振り向いたと思ったら、
これまた素早くコチラへ向き直し眉間にシワを寄せ申し訳なそうに、

すみません!数が足りません!6分程掛かります!

全く落ちる事の無いテンションで詫びて来る姿は最早微笑ましく、
全く問題ありませんので宜しくお願いしますと伝えると、
コチラに礼を述べた後に焼き台に向かっていた、
もう一人の店員さんに指示を出した後、
本人は素早い動作でたこ焼きの調理に取り掛かった。

替わって現われた女性店員さんは、
打って変わって程々にのんびりしたテンポで対応。
先に会計を済ませて再度焼き台に向かうその向こうから、
マスクの店員さんが細かく指示を出すと、
ソレを数回心で咀嚼した様なテンポで対応する店員さん。

ココ「築地銀だこ 西友西荻窪店」に今発ち込める、
この2人が醸し出し取り巻いてゆく空気に漂う雰囲気は、
見事に本邦の誇る“萌え”という文化を完璧に具現化している。
2人が睦み出す立ち位置、両者の風貌、そして互いの異なるテンポ、
そのありとあらゆる全てがコレ即ち日本文化に脈々と受け継がれる、
王道シチュエーション“先輩と後輩”という様式美を形成している。

キビキビとした動きと無駄の無い指示の後、
目を配りながらもついつい手を貸してしまう面倒見の良さと、
ゆったしとしたテンポと少々ぎこち無い挙動でありながらも、
辛抱強く取り組む健気で次第に成長していくという、
究極の“萌え”ベストマッチング。

コレこそ平安時代から続く日本萌え文化の基本にして王道であり、
全ての“萌え”の原点にして不動の理念といえる古典中の古典、
いわゆる“出来た先輩と頑張り屋の後輩”という設定の見本である。

何て事をマスクの店員さんに勧められた店舗横の縁台に腰を掛け、
ガラス窓から垣間見えるたい焼きを焼き上がる様をぼんやり眺め、
止め処無く考えている内にたい焼きは全て焼き上がっていった。
そしてたい焼きの包みが開封されたままである事の説明後、
手提げの袋に入れる際に傍らから指示を出すマスクの店員さんは、
やはりつい手を貸してしまう鉄壁のシチュエーションが再演される。
ソレを間近で堪能して良い物が観れた事の満足感に浸り、
店舗ブースすぐ脇の出入り口から外に出る。

出た先の小道は行き着く先に鳥居があって、
何事かと辺りを見回すとお稲荷様が御座す祠が一宇。
その脇で早速封を開けるとボワンと湯気が発ち込める冬の朝方で、
挙句に日陰の路地裏に佇み早速一尾取り出せば、
冷たい指先にジンジンと熱をぶつけて来て、
身体全体から闘気の如き湯気を纏ってコチラと対峙する。

そんなアツアツを早速一齧り。
噛り付いた先からバリバリと崩壊して行く皮は見事なまでの極薄で、
サクサクと容易く砕けて行き余韻すら残さない。
唯一尾びれ部分は厚めでカリカリとした表面の下に出来上がった、
蒸気をタップリ含んで形成された気泡が作り上げたふっくらした、
粉の風味がほんのり感じる少々セピア色の生地の食感が生きる。
それ以外の箇所は余りの薄さに鱗に沿って割れ始め、
ソコから餡が押し出される事となる。
その様子はまさに皮と云うより鱗其の物であり、
図らずもある種のスーパーリアリズムを成し得た形となる。
あの店員さん実は秘めた才能を持った天才なのかと、
これまた王道の設定を勝手に思い描いて見たりする。

その鱗から次々と顔を覗かせる粒餡は、
頭から尾びれに至るほぼ全域で容易にその存在が確認出来て、
たい焼きの身体のほぼ隅々に行き渡りギッシリ詰まっている。
妄想の狭間に見た工程に於いて小さな角材の様な粒餡の塊に、
生地を薄く丁寧に掛けて行く様を思い出し、
あの塊が鯛の形になるのだからそりゃ全身に餡が詰まる事にも納得。
水気少なく甘さが際立つが後味はスキッとしていて、
硬めの炊き上がりで油断しているとニュルリとした柔軟性も見せる、
じんわりと口の中を甘さで満たしていくその様も相まって、
至って正統派の粒餡である。

コチラの系列が提供するたい焼きは本来「銀のあん」の管轄だが、
ココ最近は今巷を席巻している“クロワッサンたい焼き”で大わらわで、
一部の店舗を除きカフェ展開で対応し始めるに至り、
その結果として普通のたい焼きが購入できない状況が蔓延して、
コチラの様に“銀だこ”の片隅を間借りして、
ひっそり売られる現状を目の当たりにする度に、
憤懣遣る方無い思いで一杯になる今日この頃。
しかしまぁ今日の所は良いモノが見られたので、
一先ず鎮まる日曜日であった。


価   格○あずき 150円
住   所○東京都杉並区西荻南3-25-27
営業時間○10:00〜21:30
 
   
  

posted by EY at 21:53| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 杉並区のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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