東京のたい焼き ほぼ百匹手帖

2015年06月27日

鳴門鯛焼本舗 末広町店【末広町@東京メトロ銀座線】

     
 
たい焼きを買いに末広町に来た。

駅の真上は外神田五丁目交差点。
中央通りと蔵前橋通りが交わる其の場所から、
御茶ノ水方面へ向かうと妻恋坂交差点があり、
その角にあるのが「鳴門鯛焼本舗 末広町店」である。

各種愛好家が集う世界的繁華街から、
幾分離れた場所ではあっても駅界隈には煌びやかな看板を掲げ、
マニア心擽る専門店が数多立ち並び、
今は其の店先にアジア系外国人観光客が屯している。
そんな各種専門店舗が軒を連ねる間に飲食店が入り込み、
着々と開店準備を始める午前10時過ぎ。

交差点の角地にお馴染みの巨大な看板を掲げ、
歩道に突き出した瓦屋根の軒に大きなガラス窓を設え、
其処に紺色の暖簾を掲げた「鳴門鯛焼本舗 末広町店」は、
すっかり開店準備を終え様子で商いを始めている。

今の時間は店内に店員さんは一人。
道に面した焼き台に向かい焼き型を見つめている。
当然開店間際なので其の焼き場の上に設えられた、
保温用網棚に寝そべるたい焼きの姿は見当たらない。
早速店頭の左手に設けられた会計口に行き、
たい焼きの状況確認と注文をお願いしようとすると、
やって来た店員さんは柔和な笑顔を湛えた妙齢のご婦人で、
纏った白い作業着から来る印象も相まって、
其の佇まいは当に“姐さん”という雰囲気を醸し出す。
そして其の物腰柔らかな対応を受け、
焼き上がりまで数分の時間が必要という旨を了承後、
代金を支払い完成までの間を店内でどうぞと促される。

今の今まで気付かなかったが店頭の右脇に扉があり、
其処を引き開けると中にはカウンターや椅子が設けられた、
所謂イートインスペースがこぢんまりと設けられていた。
其処からは店内の様子が一望出来て、
店員さんが焼き台で一丁焼きの焼き型を振る様子が、
焼き台の熱気込で間近で眺められるという、
一部の愛好家に取っては堪らない特等席となっているという、
マニアの街に相応しい心配りが成された造りとなっていた。
しかも其れを小柄な体躯の妙齢の御婦人が取り扱うという特典付き。

とはいえ一丁焼きの焼き型は2s超の鉄塊である。
取り回すにしても相当な体力が必要であろう事は想像に難くない。
大の男でも一苦労の此の肉体的に過酷な作業を、
目の前の小柄な女性が取り回せる物のだろうかと、
そんな大きなお世話を焼いている客を尻目に店員さんは、
天井からダクトが幾つも伸びるサイバーニュウニュウな店内で、
焼き台の下から次々に焼き型を引っ張りだし、
青い炎が葉蘭の如く連なった焼き台に並べ始め、
其処に次々と生地を流し込みその上に餡を置いていく。

其の余りにも手慣れた流れる様な作業光景を眺め、
期待していたのとは若干違う光景ではあるが、
此れは此れでまた一味違ったマニア心を擽るモノがあるなと、
その凛々しい後ろ姿越しに作業をボケっと眺める。

焼き台から立ち昇る熱気は陽炎を生み景色を不規則に歪める。
面した歩道を通る人気は曇天の空模様もあってそう多くない。
とはいえそんな最中にも当然来客はあるもので、
最初に訪れたOL風のお姉さんはたい焼きを買い求めるも、
焼き上がりまで数分の猶予が必要な事を受け断念し、
再度の来店を約束して去っていく。

そして接客を終えた店員さんは再び焼き型と対峙して、
ガチャガチャと取り回す合間に、
幾度と無く焼き型を開いては中を確認。
そんな細心の注意を払いつつたい焼きを焼き上げていきつつ、
更に焼き台下から焼き型を取り出し焼き台に並べていく。

そんなどんどん増え続ける焼き型を、
羨望の眼差しで眺めている最中のも当然来客はあるもので、
今回はポロシャツ姿の紳士がやって来て注文したのは、
もう一つに看板商品“あいすモナカ(あずき入り)”。
其れを瞬く間に作り上げ紳士に渡した店員さんは、
此方を気遣いつつ焼き型を具に監視。
やがて御眼鏡に適ったたい焼きは次々と焼き型を離脱し、
素早く網棚の保温所へと一同に会される。
そして一定数の水揚げが確保出来た時点で梱包され、
終始イートインスペースに突っ立っていた客に手渡され、
店員さんに長居を詫びつつ重ねて礼を述べ店舗を後にする。

裏路地に入りビルの軒を借りて荷を解いて、
早速出来たてで猛り狂う様な熱を放出するたい焼きを手に取る。
表面のカサカサと乾いた手触りの中に、
其処彼処でザラザラという粒子感が、
指とたい焼きの間に伝わってくる。
その御蔭かどうか発する熱気の割に、
直に触れた熱感は穏やかで扱いやすいたい焼きは、
世間一般で認知されている所謂“一丁焼き”より、
全体的に柔らかな丸みを帯びていて、
特に縁部分にかけてのこんもりとした立体感は、
一丁焼きでありながら極めて連式の其れを彷彿とさせる。
そこら辺は一丁焼きでありながら全国チェーンという、
此の「鳴門鯛焼本舗」に秘められたナニかであろう。

そんな事を考えながら齧り付いたたい焼きの皮は、
サクサクと音を発する歯応えの表皮の焼き上がりと、
其れを支えるような内側の生地が作り出す、
モチモチとした食感の2層構造が形成されている。
其れは薄皮というには強かに厚く、
厚皮と呼ぶには余りにも薄すぎるという、
いわば程々の皮としか言い様が無い感じで仕上がっている。
其の程々の皮は芳しい香りを放ちながらサクサクと、
軽快な音を奏でつつ内包された高熱原体を確実に保持している。

そして其の皮に開いた隙間から、
まるで湧き出るように放出される熱気が口内を炙り、
噛み千切る圧力に合わせて上昇して零れ出てきた餡は、
ネットリとしてトロトロの状態で口内を侵食していく。
そしてキッチリと口内を焼いていくネットリとした食感は、
その実シットリと滑らかな舌触りで、
其の中に時折顔を覗かせるアズキの皮の食感と共に、
濃厚なアズキの風味を十分に内包した炊きあがりである。
その上に甘味と共に抑え気味の水気が熱気を保持し続け、
故に熱量の持続力が長い餡を実現させる事で、
何時迄もアツアツの餡を口内へ送り込んでくるという、
実に有難くも厄介な仕上がりとなっている。

とはいえ其れが焼きたての特権である。
おまけに苦心惨憺の末に食べ進めた先に待っていたのは、
尾びれの先にタップリと詰まった餡が皮と共に焼き固められて、
すっかり水気が飛び口の中でモロモロと崩れる様な食感を備えた、
一味違った焼き和菓子を体験出来るという特典付である。


価   格○黒あん 150円
住   所○東京都千代田区外神田6-3-6
営業時間○10:00〜22:00
       年中無休
 
   
  

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2015年06月20日

文左亭 江東区深川店【門前仲町@東京メトロ東西線】

     
 
たい焼きを買いに門前仲町に来た。

6番口から出て目の前を横切る清澄通りを右へ。
やがて見えてくる歩道橋を渡り更に森下方面へ向けば、
目の前に左折路が見えるので其処を入り、
突き当たった保育園前の道を右へ進み、
その先にある十字路を左へ進んだ先に、
ホームセンターコーナン江東深川店があり、
其処の敷地内に「文左亭 江東区深川店」が営業している。

大通りから数本入った住宅地の一画に異空間を創り上げ、
其処に悠然と佇む本邦屈指の大型 DIY store は、
開店から間も無い時間でありながらも、
作業用ベストで身を固めたプロ・アマ問わない、
多くの日焼け顔の紳士達で溢れかえっていた。

早速その中へ軽トラックやワゴン車が行き交う所へ踏み入り、
正門から真っ直ぐに脇目も振らずに進めば、
店舗前の園芸用品が並べ置かれた少し前辺りに、
およそ6畳間位の広さの箱型店舗が設えられ、
其の前に店舗と繋がった屋根付きの飲食スペースを確保している。
外観は海鮮居酒屋の趣なのはどうやら公式設定で、
その良い意味で場違いな存在感と雑多な雰囲気が、
巨大で重厚な作りが故に屋外に置かざるを得ない、
石造りの園芸用品の中にあっても掻き消されず、
其の周囲に厳つい紳士達を侍らせながら建っている。

その「文左亭 江東区深川店」の中で今は、
一人の女性店員さんが従事していて、
今は“たこ焼き”を焼きながら店内で右往左往している。
先ずはたい焼きの状況をと店舗に近づくと、
気配を察した店員さんが見返りフニャッとした接客を始める。
大きく開いた店舗正面部分に並ぶたい焼きの焼き型は2台。
その6連式の上に今の所たい焼きは並んでおらず、
焼き型手前に置かれた保温ケースに数尾のたい焼きが、
ヒッソリとした様子で整列している。

とは言えモノは数尾。
早速注文をお願いするとフニャっとした雰囲気の店員さんから、
フニャっとした感じで5分待ちとのご返答を頂く。
当然此れを了承し店舗の軒下脇に佇み待っていると、
そのフニャっとした雰囲気とは裏腹の機敏な手捌きで準備を進め、
焼き型の上のチャッチャと生地を落とし始める。
しばしその光景を感心しながら眺めた後、
店舗前から離れ店舗の周囲をグルリと眺める。
貼り出された品書きはフードコート定番の品揃えが並ぶ中、
その中にある“団子”に代表される和菓子の存在が、
殊更ながら可也の異彩を放ち且つ主張をする。

其れにも増してこの飲食スペース、
飲食スペースに置かれた丸テーブルの醸し出す違和感が際立つ。
丸テーブルという選択それ自体は当然珍しくも何ともない事なのが、
その並べられた丸テーブルが多種多様なデザインであり、
共通点といえば天板が丸い事位で統一感が全く無いのである。
高さも大きさもバラバラの丸テーブルが幾つも並ぶ店先は、
統一感皆無ながら独特の雰囲気を生み独創的空間を構築する。

そんな何処か幻想的でもありファンタジックでもあり、
其処に腰掛けて顰め面でソフトクリームを頬張る、
作業服の色黒の紳士達の姿はまるで、
巨大なキノコに腰掛け花の蜜を吸う妖精達の様である。
などと考える己の思考に若干の寒気を覚えながらも、
此処が現世から切り離された異界である事を痛感するのである。

黒く焼けた肌に白いソフトクリームは良く映える。
そのよく考えれば些か禍々しい光景をすんなりと許容できるのが、
ショッピングセンターやホームセンターの醍醐味である。
そんな異界の一端で童心帰りの逸品を売り捌く店内では、
焼き型に餡を落とし終えた店員さんがキビキビとした挙動で、
次々に“たこ焼き”を舟に乗せていざ保温ケースに並べる段で、
舟からポロポロ零すというフニャっとした陳列を始める。

取り敢えずは無難に事を運んだ様子の店員さんは、
続いてたい焼きの焼き型に歩み寄り焼き型を開放。
並んで寝そべる6尾のたい焼きを手早く選り分けると、
何時の間にか袋の中へ納めて此方を見遣り、
たい焼きの焼き上がりをフニャっとした感じで注げる。
その流るような挙動に見とれていた客はハタと我に返り、
もしやこの店員さんは可成りの手練かと思い直し、
急ぎ代金を支払いフニャッとした笑顔で手渡された袋を受け取るも、
レジの鍵が見つからずフニャッとしながらアタフタする姿を見て、
其の判断を一旦保留してその慌てッぷりをしばし見守る。

そして落ち着きを取り戻した店員さんに改めて礼を述べ、
にわかに人出が増え始めた敷地内を縦断。
ホームセンターコーナンの磁場から抜け出し、
その直ぐ横にある亀堀公園に降り立ち、
藤棚の木陰にあるベンチに腰を下ろし荷を解く。
袋の中で尾びれをピンッと伸ばした奴等の内から一尾つまみ上げ、
まだカッカと高熱を放出し続けるその身体は、
硬く焼き上げられた皮でシッカリと覆われている。
早速一口齧り付いてみるとサクサクとした歯応えの皮からは、
芳ばしい風味と内包された熱気がムワッと立ち昇る。
更に其れを越えて征けば硬い表皮の下にある生地が、
モッチリとした食感を醸し出し食感にアクセントを加える。
その柔らかな内部からほんのりとした小麦系の酸味が、
自身の熱で煽られて鼻腔内へ立ち籠める。

その皮に包まれた餡はネットリとしているが、
甘味自体は控え目でアズキの風味と其の独特のクセの部分が、
仄かに感じられる仕上がりとなっており、
滑らかな食感で舌の上を伸びると、
其処に引っ?く様な感触でアズキの皮が存在を主張する。
その時に此れが粒餡である事を再確認するに至るが、
水気が少なく中でキラキラ輝くのがアズキの皮位な粒餡は、
一旦口に入ると其れを忘れる位の滑らかさを発揮し、
まるで漉し餡の様な食感を発揮して舌に絡んでくる。

ホームセンターという異空間に潜んでいる、
上質な仕上がりを誇るたい焼きは、
意外な手練の技量により生み出された逸品であった。
そりゃ色黒の紳士達もついつい童心に帰ってしまう訳だと、
2尾目を頬張りつつ只々感心するばかりであった。

価   格○あんこ 106円
住   所○東京都江東区深川1-6-2
       ホームセンターコーナン 江東深川店内
営業時間○[月〜金] 10:00〜19:00
       [土・日・祝] 10:00〜19:30
       無休(1月1日のみ休み)
 
   
  

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2015年06月14日

薄皮たい焼き たい夢 赤羽店【赤羽@埼京線】

     
 
たい焼きを買いに赤羽に来た。

北改札口から出たら脇目も振らず、
そのままビーンズ赤羽の施設中を突き進む。
途中のガード下を突っ切る都道460号線を渡り、
更にガラスの天井が矢鱈明るいビーンズテラスに入り、
タイル張りのアーケード街を少し進んだ先。
大手雑貨店の横に奥に引っ込んだ入り口を構えた、
生鮮食品館富士ガーデンビーンズ赤羽店の店内で、
「薄皮たい焼き たい夢 赤羽店」が営業している。

午前9時50分のビーンズ赤羽内のアーケードは、
人通りも疎らなのに対し其処にある多種多様な店舗は、
開店準備に追われた店内の様子が垣間見える。
それは生鮮食品館富士ガーデンも同様だが、
ただ此処が他の店舗と違うのは、
その入り口前を覆い隠す人だかりの存在である。
開店前の集合食品マーケットで今展開されている、
恐らく見知らぬ同士の老若男女が、
世間話を交わしつつ入り口前に集うその光景は、
都市部に建ち並ぶ大手百貨店前に於いても、
引けを取らない盛況ぶりである。

そんな和気靄靄とした雰囲気の中、
訪れた開店時間と共に入り口が開かれると、
脇に立つ店員さんが流れ込んでくる客に、
出迎えの挨拶をしつつ矢継ぎ早に且つ手際良く買い物カゴを手渡す。
受け取った客は店内の四方へ散って行き、
客の流れが途切れ手持無沙汰になった店員が、
此方へ向き直りその鋭い視線を投げ付けて来る。
其れに然も気付かなかったかの様に遣り過ごして、
買い物カゴの強制配給をかわして店内へ入る。

広く明るくそして何よりも未だ真新しい雰囲気が漂う、
生鮮食品館富士ガーデン店内の中程まで進み、
全体をグルリと見渡して「薄皮たい焼き たい夢」を探す。
目印は恐らく赤いであろう看板。
しかし生鮮食品を除く飲食料品を扱う店というのは、
大概赤色か橙色か黄色といった暖色系である。
軽く見廻した限りでは其れらしい店舗は見当たらず、
更に移動しながら検索を続けると、
先程の入り口より左手最奥の総合会計口の傍、
サッカー台の向かい辺りで静かに営業中であった。

店舗は上部木目壁には立体文字の店舗ロゴが貼られ、
その下に四角い行燈型看板に商品写真が並び、
店舗幅一杯に設けられた2枚の大きなガラス窓上で輝く。
そしてガラス窓の下には床まで達する、
電光で輝く行燈型外壁が足元を煌々と照らすという、
全てに於いてシンメトリーな無機質感が漂う外観。

その中で今「薄皮たい焼き たい夢」の店員は1人。
妙齢の小母さんがその小さな身体を制服で身を固め、
商品の準備の為に通路側に背を向けて作業中である。
会計口向かって右手にある保温ケースを覗くと、
コルクボードで隠れた中には既に数尾のたい焼きが並び、
反対側の左手を見ると保冷ケースが置かれ、
すっかり夏場の定番となった冷たいたい焼きが、
魚屋の店先の様に平置きされて安置されている。
その保冷ケースに貼られた商品告知が目に入った時、
会計口に突っ立っている輩に気付いた小母さんが駆け寄る。

早速たい焼きを注文する。
商品を揃えるまで数分掛かるとの事で此れを了解の後、
代金を支払い番号札6番を受け取り店舗脇で大人しく待つ。
調理場に並ぶ焼き型は6台でその内1台は閉じられ、
その内の1台に小母さんが焼き型に生地を落とし始める。
その後調理台に置かれたステンレスのタッパーを開け、
其処から餡を餡差しへと補充し始める。

そしてふと生鮮食品館富士ガーデンへ目を向ける。
直ぐ脇にある出入口では来客に対し、
只管お辞儀を繰り返していた店員に一段落着いた様子で、
その場を離れ店舗設備の点検作業に移る。
その間終始出入り口を向いていたレジ係も、
会計にやって来た客の一斉来訪を受け正業へ復帰し、
バーコードを読み込む電子音が引っ切り無しに鳴り響く。

そして再び「薄皮たい焼き たい夢」へと向き直り、
いつの間にか閉じられている焼き型を確認して、
先程身に飛び込んできた商品を思い出し、
改めて其れが表記された張り紙を注視する。
其処には“お餅たい焼き”なる商品があり、
本商品と共に両断されたたい焼きの姿が写されている。

餅でたい焼きとなると真っ先に思い浮かぶのは、
かの有名な“白いたい焼き”の悲しい記憶であるが、
彼方の主原料はタピオカ粉と薄力粉に卵白との事。
対して此方は本物の餅か其れに準ずる材料の使用を示す為か、
張り紙の背景には膨れ上がった焼き餅が映り込んでいる。
成程此れは製造方法の如何によっては期待が持てるなと、
偉そうに考え耽っている間に番号札6番の呼び出しを受ける。

持ち手穴が開いた紙袋を受け取り礼を述べ長居を詫びた後、
ビーンズテラスへ向かいコーヒーショップ前へ、
下り階段を下りてその段差に設えられた、
早くも襲われた買い物疲れを癒す老人達が集うベンチの、
その横に伸びるスロープ脇の植え込みの隙間にて荷を解く。

出来立てで身体中から熱気を放出するたい焼きを手にと取る。
すると指先に伝わるカサカサとした乾いた質感に加え、
皮が触れた所全てからポロポロと砂の様に欠片が零れ落ちる。
まるでコロッケでも食べるかの様な錯覚を覚え始める頃、
其れを払しょくする様に胴体に丸に夢という意匠を頂いた、
苦み走った風体のたい焼きに急いで一口噛り付く。

硬い質感の表面はザクザクという歯応えを生む位、
全体をしっかり焼き固められ其処から仄かな苦みを放っている。
一方中面は気泡を沢山形成したフカフカの食感で、
食べ進める度に口内で弾力を発揮していく。
この皮の感覚は表側の硬い焼き上がりと、
中の気泡が多めでフワッとていながらコシがある感じと、
其処に皮表面の脆さも相まって宛ら“バケット”の様である。

そんな小粋な皮に包まれた餡は水気が少なく、
モッタリとした食感の中にアズキの皮が放つ質感が伝わる。
其れをキシキシと噛み締めれば口内に忽ち広がる風味と、
力強くもクセの少ない甘味が広がり始める。
やがてすっかり水気を得た粒餡は滑らかな舌触りへ変容し、
硬めの皮との融合を果たしやがて飲み込まれる。

脆いクセにシッカリとした食感を発揮する皮を、
最後の尾びれ口に放り込んでカリカリと噛み砕く。
其処には“バケット”を通り過ぎて最早“クルトン”である。
たい焼きとしては中々に個性的な皮と、
正統派王道粒餡とのマッチングを堪能しつつ、
胸元に落ちた欠片を払い口の周りを拭いながら、
人出が増え始めたアーケードをブラブラ引き返す。

価   格○小倉あん 140円
住   所○東京都北区赤羽1-67-8
       ビーンズ赤羽 生鮮食品館富士ガーデン店内
営業時間○10:00〜21:00
 
   
  

posted by EY at 21:15| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 北区のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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