東京のたい焼き ほぼ百匹手帖

2014年07月27日

Shinkine Sweets 大泉学園ゆめりあフェンテ店【大泉学園@西武池袋線】

     
 
たい焼きを買いに大泉学園に来た。

改札を出て南口。
左側通行の指示に従ってペデストリアンデッキを、
ぐるりと行けば前方にはガラス張りの建物ゆめりあフェンテ。
その2階のFOOD STREETでたい焼きを売っているのが、
「Shinkine Sweets 大泉学園ゆめりあフェンテ店」である。

時刻は午前10時前。
FOOD STREETに直結したメインエントランス前で
10時の開店までの僅かな時間を、
同様に何かを求めてやって来たおばちゃん達と待つ。

開店準備に追われるFOOD STREET内の店舗を、
ガラス扉越しに窺えば既に視線の先で、
朱い幟に記された“新杵名物 おどりたい焼”の白い文字が見える。
たったの数分が待ちきれずに爪先は小刻みに床を叩く。
たかがたい焼きと人は呆れて思うだろうがそれは個人差。
コチラとしてみれば死活問題である。

蒸し風呂の様な外気に増幅された鬱屈した気持ちは、
志は違えどもおばちゃん達も一緒で、
皆一様に落ち着きを失いイラつきが外に漏れ出している。
夏は辛抱が目減りする季節でもあると痛感する。

そんな澱みきった空気を晴らす様に高らかになる音楽。
ゆめりあフェンテ開店の時間がやって来た。
目の前のガラス扉が静かに且つ力強く開かれて、
ようやくゆめりあフェンテと向き合える。
落ち着き払った素振りでいながら若干の早歩きで、
「Shinkine Sweets 大泉学園ゆめりあフェンテ店」へ向かう。

角地にある店舗ブースは白が基調の洋菓子店風の設えの、
ポップでキュートな感じを押し出した「Shinkine Sweets」と、
その清廉な白い梁の下に提げられた朱い暖簾と、
そこにも記された“新杵名物 おどりたい焼”が醸し出す、
創業100年を迎えた老舗和菓子店「御菓子司 新杵」の、
バランス加減の混沌具合が大変に興味深い店舗である。

宝飾店の様な大きい透明のショーケースは光に満ち溢れ、
その中を彩る数多の看板・定番商品に混ざって、
お目当てのたい焼きも大皿に盛られて光の中に鎮座している。

とは言えこれらは見本。
本物は会計口横には保温ケースにある。
開店直後の店舗にはおねえさんが一人、
店舗の片側に設えた焼き場と会計口を忙しく行き交う。
保温ケース内には既に隊列を成して踊り始めたたい焼きが数枚。
その脇には今川焼きも焼き上がっている。
流石にショッピングモールの実演販売は準備に抜かりがない。

そんな保温ケース前で立ち尽している客に対し、
声を掛けあぐね探り探りのおねえさん。
そんなおねえさんの様子を視界の端で確認しつつも、
続いて焼き場前に移動して焼き型を見る。

併設で並べられたたい焼きと今川焼きの焼き型には、
各々数個の引き上げ待ちのヤツが踊り出さんとしている。
満足いくまで状況を確認して、
ようやく困惑顔のおねえさんの元へ向かう。
そして今までの不審な行動を払拭すべく、
極めて紳士的に注文をお願いする。

笑顔で対応したおねえさんは高らかに金額を告げて、
テキパキと焦げ茶色の踊り手さん達を、
ひとつひとつ丁寧にピンク色のたい焼きが描かれた紙、
つまりは舞台衣装に包まれ化粧箱という名の移動車に納めていく。
その踊り手さん達は保温ケースだけでなく、
焼き型から直接衣装を纏い移動車に駆け込んだりもする。
まさに客の胃袋で開かれる公演に向けて、
“新杵名物 おどりたい焼”選抜チームが編成されていく。

宛ら敏腕マネージャの様にテキパキと取り仕切り、
あっと言う間に詰め終えたおねえさんは袋をコチラに差し出して、
満面の笑顔で客が代金を支払うのを待っている。
タップリと妄想に浸っている客は我に返り、
急いで代金を渡しておねえさんから袋を受け取り礼を述べる。

焼き場前を抜けて一先ず裏手に出て、
寿司屋の店先に設えられたアイスボックス上で荷を整え、
早速に取り出した一番手の踊り手さんを眺める。

白地にピンクの柄の衣装を見に纏い、
勢いよく跳ねた身体に疎らな焼き目を施しつつ、
夏の気温を遥かに上回る熱気を身体中から発しているたい焼き。

それはスッシリと重たく、
そしてフンワリと柔らか、
あげくグニャリと緩やか。

では早速に舞台へご招待。
一口齧った皮は手にフンワリなら当然口にもフンワリで、
厚くも無く薄くも無い良い意味で大変に和菓子的。
よく見れば両面で焼き上げにムラがある所などは手作り感が溢れ、
焼成熱では得られない人の温かみが感じられる。

一頻り噛み締めた皮はやがてモチモチに食感を変えて行く。
その食感の変化の一方で生地自体の風味に目立ったモノが無く、
以前渋谷に出店していた時は皮に感じた甘味が薄い。
しかしこの皮のあまりの素っ気無さこそ、
この“新杵名物 おどりたい焼”最大のポイントとなる。

そのポイントと対になるのは餡の存在。
この“新杵名物 おどりたい焼”は、
タップリと餡が詰まっている。
それがスッシリとした重さの正体で、
グニャリとした緩やかさの理由。
齧り口から溢れ出てくる餡が止め処なく押し寄せる。

その風味はとても上品で、
その甘さはとても優しく、
その舌触りはとても滑らか。

さすが老舗の和菓子屋さんの餡は違うなぁと、
ダイレクトに餡を堪能してしばらくして気付くのが、
控えめな皮の主張具合の真意。
この餡をじっくりと味わう為の皮の素っ気無さとも取れる。

たい焼きの主役は餡。

在る老舗たい焼き店店主の言葉を体現した、
このたい焼きの形状もそうなるとまた興味深く思える。
“おどりたい焼”と称している割に逆反りではなく、
順反りなのは何故だろうとずっと考えていたが、
従来の魚型のたい焼きではなく、
この角丸の長方形にするには順反りが最良なのだろう。
それはやはりタップリと餡を詰める為に、
老舗和菓子店「御菓子司 新杵」が考えて至った事なのだろうか。

そんな事を勝手に推測して勝手に感動しているが、
この“新杵名物 おどりたい焼”が、
餡を堪能するたい焼きである事は確信出来る程に、
たい焼きの中に餡が目一杯詰められているのである。

夏の陽光にヌメリと輝く柔らかな小豆の芸術を眺め、
優しい甘さに口内を満たしながらそんな事を考えながら、
次々と胃袋に送り込む踊り手たち。
意外に満腹になってきたそのボリュームもまた魅力である。
暑い日にこそ熱いたい焼きを。
そう思わせるに十分なダンスユニット「Shinkine Sweets」の、
これからの活躍に期待したい。
それじゃあまた、See You Next Week! Bye-Bye!

価   格○小倉あん 130円
住   所○東京都練馬区東大泉5-43-1 ゆめりあフェンテ内
営業時間○10:00〜
 
   
  

posted by EY at 22:20| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 練馬区のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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