東京のたい焼き ほぼ百匹手帖

2015年11月01日

ひとくち茶屋 中野新井店【中野@中央本線】

     
 
たい焼きを買いに中野に来た。

北口から中野サンモールに入って直進すると、
中野ブロードウェイの南口へ辿り着く。
建物内へ入って一階に伸びているメインストリート、
ブロードウェイ通りを通過した先の北口へ出る。
目の前を横切る早稲田通りを渡った向こう側に、
目指す「ひとくち茶屋 中野新井店」がある。

車通りの多い大通り沿いのバス停前に建つ店舗といえば、
嘗ては見慣れた青い看板で漢字表記の「一口茶屋」だった。
しかし今や目の前で営業しているのは、
茶色い看板を掲げた平仮名表記の「ひとくち茶屋」である。
和風の基調で統一された落ち着きある雰囲気に変わり、
木調の壁や梁に金の意匠を掲げた店舗は高級感がある。
とはいえ店の構造自体は依然の青い「一口茶屋」の時のまま、
店先に置かれた小さな縁台も未だ現役で活躍中である。

店名の「一口茶屋」が「ひとくち茶屋」に変わると、
定番商品である“普通の”たい焼きの皮が変わる。
パリパリの“薄皮たい焼”になった上に、
所謂“羽根”と称される幅の広いバリで覆われる。
それは全ての「一口茶屋」が提供する大納言を使った、
高級版たい焼きの “プレミアムたい焼”も同様である。

開店間もない店内を切り盛りする2名の店員さんが、
2名に対しては少し広い調理場を忙しく行き交う姿が見える。
歩道から窺える焼き台には3台の6連式のたい焼き型と、
1台のたこ焼き型が並べて設えられている。
そのどれもが黒く焼き色が浸み込んでいて、
まさに歴戦の勇者が醸し出すシブ味を感じさせてくれる。
今その焼き型の2台分には粘度の高い生地が流し込まれ、
焼き型の内側をゆっくり広がって行く様が窺える。
調理場の横にある保温ケースには既にたい焼きを始め、
“たこ焼”や“モダン焼”が並べられている。
見た所既に商品の数は十分にそろっている。

店員さんに声を掛けて注文をお願いする。
代金を支払い終えて商品の準備が進む間は、
ボンヤリと周囲を眺めてひと時を過ごす。
すっかり高い建物が増えた中野駅周辺は
日光量が少なく感じるさせる位が少なく感じる。
南口の派手さに対して至って地味な中野ブロードウェイの北口と、
そこから新井薬師方面へ向かう人々を見送る。

店内からはたい焼きが焼ける甘い香りと、
ソースが焦げた芳ばしい香りが次々に漂いはじめ、
ジッと待つ客の鼻っ面を撫でまわしていく。
もう一人の店員さんがたこ焼きピックを駆使して、
たこ焼きを回すチャキチャキという軽快な音が響く。
ランチ前の冷えた時間にバスを待つ人々の視線が、
自然と其処へと寄せ付けられ始める。
その視線が交錯する中で店員さんの呼び出しを受け、
たい焼きで満たされた袋を受け取って、
店員さんに礼を述べ店を後にする。

早稲田通りを渡って中野ブロードウェイの脇へ向かう。
100円ショップの横に伸びる細い路地は、
買い物客が次々入れ替わり利用している駐輪場で、
その隙間にある車止めに陣取って荷を解く。
茶色い紙袋を開けると熱気と甘い香りが出迎える。
たい焼きは一匹ずつ白い小袋に入っていて、
其処には茶色い“羽根”がはみ出たヤツも何匹かいる。
手に取ると紙越しに掴んだ指先にクニャリと波打つ感触が伝わる。
さすが“薄皮たい焼”なだけあって餡子が直ぐ其処にあって、
更に温かさまでダイレクトに指先を焦がす。

一方の羽根はといえばかなり脆い。
少しの衝撃でパキパキ折れてしまうので、
慎重に紙袋から取り出して噛り付いてみる。
パリパリの食感は芳ばしい風味であるが、
生地自体の味はほんのりとした粉の甘さ位である。
それ以外は焼き上がり加減の違いで生じるほろ苦さと、
恐らく横から頂いたソースの風味が少しある位である。
このサプライズこそたこ焼き併設店の醍醐味だなと、
思いがけないアクセントに喜んで本体へ進出する。
表面はカリカリの焼き上がりで、
中はフワフワとモチモチが共存した弾む食感で、
薄切りのトーストを髣髴とさせる歯応えがある。

そこに薄皮を突破してきた濃い赤紫色の餡子が溢れ出す。
水気があって緩いがシッカリとした粘り気があって、
強い甘味としっかりと香るアズキの風味がある。
時々アズキの種皮のシャキシャキした食感が顔を出すが、
全体は流れる様に滑らかで柔らかい舌触りである。
暫くその強力さで口内を席巻した甘味は、
最後に残った尻尾付近の“羽根”が醸し出す、
サクサクとした軽快な歯応えと、
芳ばしくほろ苦い味で洗い流されていく。

同じ“羽根”でも場所によってその特性は変わる。
こちら「ひとくち茶屋 中野新井店」の“羽根”は、
頭の付近は厚めでパリパリとなり、
尻尾付近は薄焼きになってサクサクとなる。
おまけに薄いから火の通りが良く少し焦げた感じになって、
口内に漂う餡子の甘味を相殺してくれる。
全く皮と餡子の関係は奥深く、
まだまだ無限の可能性を感じさせてくれる。

価   格○小倉 130円
住   所○東京都中野区新井1-9-4
営業時間○11:00-21:00
       無休
 
   
  

posted by EY at 21:31| 東京 ☀ | TrackBack(0) | 中野区のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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