東京のたい焼き ほぼ百匹手帖

2015年12月20日

銀のあん 渋谷店【渋谷@山手線】

     
 
たい焼きを買いに渋谷に来た。

ハチ公口に出たら渋谷駅前スクランブル交差点を渡り、
右手へ進み井の頭通り沿いを進む。
そのまま最初の左折路へ入り引き続き井の頭通りを行き、
宇田川交番が建つY字路も井の頭通り沿いを進む。
その先に見えて来るマンガの古本屋があるビルの1階に、
目指す「銀のあん 渋谷店」がある。

ビルの1階エントランス部分の脇にあるスペースで、
2階にある楽器店を覆うテント生地の日除け幕と並び、
茶色地に白い文字で大きく“Croissant Taiyaki”と記され、
その少し離れた下の方に小さく“Produced by 銀のあん”とある。
近年日本中で流行したデニッシュ生地の皮を持ったたい焼きにあって、
「銀のあん」が提供する商品名“クロワッサンたい焼”は、
名実ともに日本中でその名を着実に轟かせた。
今やこの手法のたい焼きは総じて“クロワッサンたい焼”と呼ばれ、
今やデニッシュ生地たい焼きといえば“クロワッサンたい焼”であり、
他社大手販売店では名称自体変更して差別化を図り出している。

その「銀のあん」が誇る“クロワッサンたい焼”の専門店である。
エントランス部分に突き出た部分に会計口があり、
会計口前には柱に埋め込まれた巨大で幅広な行燈型看板がある。
購入後は建物1階部分に置かれた丸テーブルで食べる事が出来る。
「銀のあんカフェ 吉祥寺店」の様に正式に命名されていないが、
ドリンクも購入して寛げばちょっとした“cafe”であり、
屋内にありながらオープンデッキ的雰囲気が楽しめる構造である。
細長い店舗内には6連式の焼き型が大量に並べられ、

今現在1人の店員さんが開店間際の作業に追われている。
建物出入り口に面した保温ケース内には、
既に大量の“クロワッサンたい焼”がズラリと、
焼き上がった瓦の様な風合で直立の姿で並べられている。
其の壮観な光景は当に民芸品といった趣である。
道行く人々やエントランスを抜ける人々は、
時折チラチラと建物内を窺う方も多い。
中には店内を覗き込んで何やら会話を交わしている人も居る。

「銀のあん 渋谷店」は公式ホームページには備考部分に、
“クロワッサンたい焼専門店”と※付で併記されている。
店の至る所で見る事が出来るエンブレムにも、
“CROISSANT”の他に“ORIGINAL FRENCH SWEETS”と表記され、
従来のいわば“TRADITIONAL JAPANESE SWEETS”である、
一般的たい焼きとは一線を画す商品である姿勢を見せていた。

その“クロワッサンたい焼専門店”の店頭に、
見慣れたたい焼きが売られているのを知ったのは最近の事である。
会計口前に設えられた立て看板や会計口上部の品書きにも、
そして向かって右手に置かれた保温ケースの中にも、
「銀のあん」の定番メニューたる“薄皮たい焼”が並んでいる。

運営会社の戦略や“クロワッサンたい焼”の売れ行き状況とか、
様々な兼ね合いがあって実現したことなのであろうが、
ようやく「銀のあん」の店頭に普通のたい焼きが還って来た。
薄皮たい焼専門店の最前列で並んで売られる“薄皮たい焼”という、
当たり前の光景が当たり前では無かった、
近年のく「銀のあん」界隈を思い起こせば当に夢の様である。
そして“クロワッサンたい焼”を愛してくれる人々へ、
更にたい焼きをアピールできる絶好の機会がやって来たのだ。

やがて会計口が開かれ柱の行燈型看板にも灯りが燈る。
営業を開始した「銀のあん 渋谷店」の店先へ脱兎の如く向かうと、
後ろには2〜3人の少女達が付いて行列を造り上げる。
注文をお願いして焼き上がって保温ケースに並んでいた、
“薄皮たい焼”の“あずき”を総浚いして、
加えて“クロワッサンたい焼”を数匹購入して会計をトレーに置く。
そこで店員さんに忠告を一つ頂く事になる。

「本商品はお持ち帰りを推奨していませんが宜しいですか?」

「銀のあん」の公式ホームページには、
わざわざ“お持ち帰りでのあたため直し方”がある。
それでもその注釈が添えられた背景には、
日本屈指の繁華街だからこそ起きたであろう、
此処に至るまでの様々な御苦労を一人勝手に忍んでみたりする。

とは言え要はその場でお召し上がり頂くのが一番と云う事である。
其れはたい焼きという食品の最初期にして最大の事項であり、
立ち喰い歩き喰いが憚れるという人に対しては、
丸テーブルや椅子の利用を推奨するという事なのであろう。

てな事を推察しつつ個人的には何の問題も無いので、
店員さんの注釈に付いては全面的に承する。
其れを受けて店員さんはたい焼きを次々に小袋へ詰めて行く。
その手際の見事さを眺めている内に店員さんは、
いつの間にかたい焼きを手提げに詰め終えていた。
手提げとつり銭を受け取り会計口を後にして建物内へ入り、
2階へと繋がるエスカレータ前のシャッター前に陣取る。
手に取った1匹はカリカリの指触りから放熱を繰り返し、
纏っていた白い薄紙に水滴を拵えはじめていた。

目の前に差し上げたたい焼きは淡黄を帯びているが、
しかしこの色味が他のたい焼きとは根本的な差を感じる。
其れはこの色味は焼き目では無く生地自体に着いた色であり、
故にこのたい焼きの皮には白に近い色味が無い。
その色味が何故か不思議な雰囲気を生み出していて、
たい焼きという“作り物”を更に“ツクリモノ”的にしている。

皮の表側はサクサクで薄ら焼き目が付いて、
シッカリ焼き固められている。
皮の中側はフワフワの食感で柔らかくホロホロと脆く崩れる。
生地はライ麦パンの様に極々薄いの生地の中に沢山の気泡があり、
噛めば噛むほどモチモチとした歯応えになり粉の風味と甘味が増す。

餡子は水気が少なくモッタリとした舌触りで、
アズキの風味が強く濃厚な上に豆の形がシッカリ残った仕上がり。
粘り気も強く食べ応えも十分で抑え目の甘味が舌にジワリ染み渡る。
ホロホロの皮にシッカリ擦り込む様に馴染むアズキの風味と甘味が、
ほんのり漂う粉の素朴な風味と相まって絡まる。

新興“クロワッサンたい焼”が今に至る迄盛り上げてきた、
たい焼きという古典ブランドに更なる上物を乗せて行く為に、
王道“薄皮たい焼”が持つ伝統力で地盤を固める事が必要である。
その足掛かりとして先ずは店頭に並ばないと始まらない。
「銀のあん」への“薄皮たい焼”の帰還がその序章である事を願って、
いつの間にか少女達で満席になった丸テーブルを眺めながら、
期間限定“クロワッサンたい焼(黒かりんとう)”に噛り付いてみる。
価   格○あずき 150円
住   所○東京都渋谷区宇田川町31-2 BEAMビル1F
営業時間○10:00〜21:00
       不定休(BEAMビルに準ずる)
 
   
  

posted by EY at 22:50| 東京 ☁ | TrackBack(0) | 渋谷区のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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