東京のたい焼き ほぼ百匹手帖

2014年10月19日

幸せの黄金鯛焼き 祖師谷店【祖師ヶ谷大蔵@小田急小田原線】

     
 
たい焼きを買いに祖師ヶ谷大蔵に来た。

北口に出て右折した先に伸びるウルトラマン商店街を行く。
光の巨人が見下ろす細い道路を、
荷下ろしするトラックや行き交う自転車や漫ろ歩く買い物客に加え、
散乱する段ボール箱や道端で転ぶお年寄り等々を、
避けつつ逃げつつ躱しつつ更に跨ぎつつ助けつつ歩く事約10分。
辿り着いた大型スーパーとテニスコートが併設する建物の向かいの、
魚屋の並びというウィットに富んだ所に、
今まさに開かんとする「幸せの黄金鯛焼き 祖師谷店」が見える。

午前11時35分過ぎ。
シャッターの一部が上がり中から出てきたおばさんが、
残りのシャッターを次々と上げて、
「幸せの黄金鯛焼き 祖師谷店」の全貌が明らかとなる。
両端に2本の幟を従えてアズキ色の看板を掲げた、
何処かクリーニング店を思い起こさせる広い間口の店舗には、
色とりどりのポスターや張り紙が貼られその印象に拍車を掛ける。

やがてシャッターの中柱を残したまま調理場に入ったおばさんを、
待ち構えていた様に自転車に乗った主婦が、
本日一組目の客として来店。
遅れを取るまいとその後ろに並んで順番を待つ。

看板商品の安納芋使用の黄金たい焼きを含む、
10尾のたい焼きを注文し終えた主婦に続き注文を取り付ける。
代金を支払い渡された番号札5番を握りしめ、
約10分程の待ち時間を店舗内外を見て回り過ごす。
後に来た親子連れが直ぐに商品を受け取り店内の座席に座り、
店のテレビからのべつ流れるこの商店街の特集番組を眺めている。
衝立で仕切られた奥は調理場兼事務所の様で、
その続きで囲むように建てつけられた木製のカウンターは、
飲料水売り場と会計口それと保温ケースを出っ張って設えてある。
仕切りはそのまま店舗内を横断して区切り店の端まで延び、
そこに3台のたい焼き型と1台のいか焼き器がある。

そのたい焼き型には既に生地が流し込まれ、
おばさんが次々に餡を入れてゆく。
やがて店内を漂う芳ばしい香りがゆっくり、
そして広範囲に広がっていく事数分後に、
おばさんは焼き型を勢いよく閉じる。
焼き上がりが近い事を確認後、
品書きの中にある餡の種類を数え味の想像に耽る頃、
店内にタイマーのアラームが鳴り響き、
先客が買い求めた10尾のたい焼きは焼き上がった。

さて次は当方の分の焼き上がりを待つだけとなり、
親子連れが去った座席脇に佇み、
店内の張り紙をツラツラと眺めその時を待つ。
小中学生のみの店内での飲食お断りの文面に、
自身を過去を振り返り大いに反省し、
8時間で1万匹近くたい焼きを売るとギネスブックに載る事を知り、
秋も深まり役目を終えて只棒立ちの扇風機の横に佇む矢先、
強く香ってきたたい焼きの芳ばしい香りと共に閉じられる焼き型。
その間、“つめたいワッフル鯛やき”を買い求める、
新たな親子連れに座席を譲り、
再び鳴り響くアラームの音を確認後に会計口に立つ。
袋を受け取り礼を述べて店を後にする。

向かいのテニスコート前にある駐輪所の輪留めに陣取り、
袋の口から湯気を立ち昇らせるたい焼きを早速手に取ると、
たちまち指先に感じるオイリーな感触。
よく見たら紙袋にもオイル染みが浮き出ているソレを確認後、
同梱されていたチラシを見るとソコに記載された、
1日限定50個の“クロワッサン鯛やき”の文字。
今やチェーン店なら御多分に漏れず取り扱っているの流行商品。
そして“バターの香り豊かなクロワッサン云々”の一文。

急ぎ手に取ると皮の表面に星を散らした様な細かな光沢。
そして結構薄い。挙句にユルい。
たい焼きの身体がグニグニと波打つ。
すかさず鼻を近づけるとほんのり薫る洋風の優しい香りに納得。

先ずは一齧り。
周りを覆うバリはパリパリと砕ける。
ソレを奥歯でサクサク咀嚼して行き本体の鼻っ面に喰らい付く。
シャリっという食感を進んだ先にあるグニッっという歯応え。
生地密度が高く気泡的空洞が皆無の皮は連式にしては大層薄い。
そのクニクニとした皮にほんのりと甘い風味が纏い、
洋風のパイ系焼き菓子の様な顔を見せ始める。

その矢先に超絶に熱い餡が口内に流れ込む。
正確には熱気を帯びた風味が前乗りしてやって来る。
たい焼き内部の熱気が熱い息吹となって広がる。
本体がグニグニしていたのは餡と皮に空間が有ったから、
そして皮が気泡が生じない高密度な生地だから蒸気が逃げずに、
噛み千切った先の口内へ押し寄せてきたと云う事になる。
なんとも暴れん坊のたい焼きである。

しかし舌先を焼いてジンジンさせながらも尚、
食べ進める餡の湛えたツヤと淡い色味、
そしてその風味を堪能したらそんな事は二の次となる。
滑らかで緩いトロトロの餡は、
水気をタップリ含んでテカテカ輝きながらも、
その表面張力によってたい焼きの外に迂闊に零れ出る事は無く、
コチラの力加減さえ間違えなければ何時までも共にある。
そんな粘りを見せる粒餡だかサッパリとした甘さで粘つきも少なく、
喉の奥へ優しくトロトロと流れていく。
とは言え熱いものは熱いので、
舌のみならず上顎や奥歯付近をしっかり焼いて行く。

そんなアツアツのたい焼きをサクサクと共にモチモチと食べながら、
輪留めに腰掛けて食べる傍で車止めに繋がれて、
一人置いて行かれた犬と並んでテニスコートを眺める。
時折コチラを見る犬の視線と交差する。
この国の何処かに犬用のたい焼きは在るのだろうかと、
詮無いことを真剣に考えてみる青空眩しい日曜日であった。

価   格○小倉あん 140円
住   所○東京都世田谷区祖師谷5-27-15 コーポ安藤 1F
営業時間○11:30〜19:30
       年中無休
 
   
  

posted by EY at 21:49| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 世田谷区のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月05日

甘ぼう【経堂@小田急小田原線】

     
 
たい焼きを買いに経堂に来た。

目指すは「甘ぼう」は経堂駅北口にある、
経堂すずらん通りを少し行った所。
銀色のウネッとしたオブジェが道の脇に聳え立ちお出迎え。
その幾分狭い小路は経堂すずらん商店街を形成して、
数多の店舗や人々で賑う生活道路であり、
自動車がすれ違うのも大変な道幅でありながら、
都道118号線を冠する立派な幹線道路でもある。

時刻は午後3時。
今この細い路地に溢れかえるのは、
ベビーカーから老人の4輪電動車に至るまでの、
ありとあらゆる地上を移動する乗り物と、
老若男女すべての世代と立場の人間が行き交っている。
少しの気の緩みも許されない商店街が一番油断ならない時間帯。

そんな時間に「御菓子舗 甘ぼう」はたい焼きを売り始める。
和菓子店が提供するたい焼きである。
逆トの字路の角に構えた店舗が見えてくると、
真っ先に扇を模した行燈看板が目に入る。
その下の窓の奥で人影が忙しなく動く。

西日を受けた日除けの奥のショーケースには、
団子をはじめとした様々な和菓子と、おにぎり等の米物の商品。
その主力組の脇で焼き台を設えたたい焼き売り場では、
次々にたい焼きを焼き上げるおじさんと、
その横で阿吽の呼吸でサポートするおばさんの姿。
そして焼き型にずらりと並ぶたい焼き達。

たい焼きが販売を始めた頃合いを見計らった様に、
絶妙のタイミングで次々とお客さんがやって来る。
とはいっても滞って行列が出来る事は無い。
傍から見ているとツバメがヒナに餌を運んでくる様に、
引っ切り無しに途切れる事なくやってくる。

早速親ツバメになった心境でその流れにうまく乗って、
焼き台の脇に開いた小窓前に舞い降り様に滑り込み、
急ぎたい焼きを注文をする。

いらっしゃい、すぐできるよ。とおじさんが、
棒状のナニかを持って焼き台をじっと見据え答える。
見れば焼き台にたい焼きは残り少ない。
少々お待ちくださいね。とおばさんは、
静かな笑顔で段取りよく包装の準備を始める。

焼き型が開く。
すかさず棒状のナニかが焼き型の周りを奔る。
始めは“群”だったたい焼き達は、
たちまち“個”になって焼き型に横たわり、
おばさんの用意した箱をめがけて、
カツオの一本釣りの様に次々と飛び込んでいく、
様に見える錯覚を起こす程の鉄壁の連携。
最早、残り香だけが軌跡を残し鼻先に漂う。
商店街へ流れゆくたい焼きの香りを追う様に店を後にする。
すかさず次の親鳥がやってくる。

人でごった返す商店街を避け、
駅前の高架下の鉄柵にもたれ掛かり封を開ける。
香ってくる独特の香りは重曹。
皮を通り越して“殻”にまで変質させるその特性は、
齧りつく度に心地よい歯応えと食感で顎を震わせ、
そして個性溢れる香りを口いっぱいに充満させる。
カリカリに焼き上がった表面の鎧の様な焼き面の下には、
カスタードクリームの様な色艶を湛えた瑞々しさと、
モチモチの舌触りで口の中を跳ねる柔らかな生地の存在感。

そしてその対比の中にタップリと仕込まれた、
昭和33年創業の和菓子店が丹精込めて炊き上げた餡が、
抑えた甘味と余す事無い小豆の香りと、
噛み締める度に増していく小豆の皮のクセのある味が、
焼き上がりそのままの熱で舌先に乗っかる様に溢れてくる。

噛み口から溢れ出る餡をすすりながら、
たい焼きの周りを取り巻いている余剰生地を、
餡を追い立てる様にカリカリと食べていく。
いつまでも熱々の餡に立ち向かう余剰生地の、
抜群の歯応えを楽しみながら改札へ向かいながら。

価   格○小倉 140円
住   所○東京都世田谷区宮坂3-19-1
営業時間○10:00〜20:00(たい焼は15:00から ※夏休みあり)
       木曜 定休
 
   
  
posted by EY at 23:13| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 世田谷区のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月09日

鯛夢楽【二子玉川@東急田園都市線】

たい焼きを買いに二子玉川に来た。

改札を出たすぐ正面に“東急フードショー”の入口。
そのからエスカレーターを下った先の左側に、
うす皮たい焼専門店「鯛夢楽」が出店している。

フロアの外れにあるイートイン・コーナーの一角は、
開店直後で辺りには人気は少なく薄っすら暗い。
「鯛夢楽」の横のたこ焼き屋のカウンターには一組の親子連れが、
熱々に翻筋斗打つ少年を母親が諌める姿が見て取れる程度。

さてこの「鯛夢楽」は、かの『サザエ食品株式会社』のブランド。
売りは“うす皮たい焼き”と言ってはいるが、
最近は別のブランドのたい焼きでも皮が薄くなる傾向があり、
最早“羽根付き”が特徴になっていると言え無くもない。

和風の店構えの会計口の背後には、
木製の一枚板の看板に「鯛夢楽」の文字。
男女の店員さんが次々と焼き上げるたい焼きには、
羽根と言うよりは吹き流しに近い造形で、
一様に頭頂部から尾びれに向けて靡かせている。
鈍色の焼き型に次々と現れる色白のたい焼き達の姿が、
仲良く並んで川をさかのぼって行く魚群の様である。

早速に注文。
丁寧に経木に包まれた躍動感溢れるたい焼きを受け取り、
店舗正面の四角いソファーに荷物を置いて、
熱々の出来立てを一尾取り出す。

たい焼き本体から吹き流れた羽根は焼きたてのおかきの様に、
一口齧ればパキッっと鳴って折れる。
モナカの皮以上でコーンカップ以下の結構な固さが、
そこから立ち昇る芳ばしい風味とともに、
歯応えとなって顎に伝わる。

そして其の焼き上がりが縁を鋭利に研ぎ澄ます。
考え無しで慌ててむしゃぶり付いたりすると、
口角を掠め皮膚をスッパリと切り裂いていく。
まあ、羽根付きたい焼きでは良くある事。
其れでも逸る気持ちは抑えられずに、
たい焼き本体へと食べ進む。

本体を取り巻く皮もまた極薄。
勇んで齧ればパキッっと鳴って割れる。
コチラの食感はまさにモナカの様。
その印象をより一層強めるのは中の餡。

水分の少ない餡が高密度でギッシリと詰まっている。
結束が固い餡に滑らかに小豆の皮が施され、
しっかりとした甘さと風味で一部の隙もなく行き渡っている。
それが焼きたての高熱を保ったままの勢いで、
口内にサクサクの皮と供にゴロリと転がり込んでくる。
そして粘度の高い餡は舌や歯茎に張り付いて容赦無く焼いていく。

気を抜いた隙の強烈な不意の一撃を喰らい、
一人静かにデパ地下の片隅で翻筋斗打つ日曜日。
こんな事を繰り返す休日も悪くは無い。

価   格○つぶあん 137円
住   所○東京都世田谷区玉川2-22-12
       二子玉川ライズショッピングセンター B1F
営業時間○10:00〜21:00
       無休
       


posted by EY at 22:34| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 世田谷区のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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