東京のたい焼き ほぼ百匹手帖

2015年06月14日

薄皮たい焼き たい夢 赤羽店【赤羽@埼京線】

     
 
たい焼きを買いに赤羽に来た。

北改札口から出たら脇目も振らず、
そのままビーンズ赤羽の施設中を突き進む。
途中のガード下を突っ切る都道460号線を渡り、
更にガラスの天井が矢鱈明るいビーンズテラスに入り、
タイル張りのアーケード街を少し進んだ先。
大手雑貨店の横に奥に引っ込んだ入り口を構えた、
生鮮食品館富士ガーデンビーンズ赤羽店の店内で、
「薄皮たい焼き たい夢 赤羽店」が営業している。

午前9時50分のビーンズ赤羽内のアーケードは、
人通りも疎らなのに対し其処にある多種多様な店舗は、
開店準備に追われた店内の様子が垣間見える。
それは生鮮食品館富士ガーデンも同様だが、
ただ此処が他の店舗と違うのは、
その入り口前を覆い隠す人だかりの存在である。
開店前の集合食品マーケットで今展開されている、
恐らく見知らぬ同士の老若男女が、
世間話を交わしつつ入り口前に集うその光景は、
都市部に建ち並ぶ大手百貨店前に於いても、
引けを取らない盛況ぶりである。

そんな和気靄靄とした雰囲気の中、
訪れた開店時間と共に入り口が開かれると、
脇に立つ店員さんが流れ込んでくる客に、
出迎えの挨拶をしつつ矢継ぎ早に且つ手際良く買い物カゴを手渡す。
受け取った客は店内の四方へ散って行き、
客の流れが途切れ手持無沙汰になった店員が、
此方へ向き直りその鋭い視線を投げ付けて来る。
其れに然も気付かなかったかの様に遣り過ごして、
買い物カゴの強制配給をかわして店内へ入る。

広く明るくそして何よりも未だ真新しい雰囲気が漂う、
生鮮食品館富士ガーデン店内の中程まで進み、
全体をグルリと見渡して「薄皮たい焼き たい夢」を探す。
目印は恐らく赤いであろう看板。
しかし生鮮食品を除く飲食料品を扱う店というのは、
大概赤色か橙色か黄色といった暖色系である。
軽く見廻した限りでは其れらしい店舗は見当たらず、
更に移動しながら検索を続けると、
先程の入り口より左手最奥の総合会計口の傍、
サッカー台の向かい辺りで静かに営業中であった。

店舗は上部木目壁には立体文字の店舗ロゴが貼られ、
その下に四角い行燈型看板に商品写真が並び、
店舗幅一杯に設けられた2枚の大きなガラス窓上で輝く。
そしてガラス窓の下には床まで達する、
電光で輝く行燈型外壁が足元を煌々と照らすという、
全てに於いてシンメトリーな無機質感が漂う外観。

その中で今「薄皮たい焼き たい夢」の店員は1人。
妙齢の小母さんがその小さな身体を制服で身を固め、
商品の準備の為に通路側に背を向けて作業中である。
会計口向かって右手にある保温ケースを覗くと、
コルクボードで隠れた中には既に数尾のたい焼きが並び、
反対側の左手を見ると保冷ケースが置かれ、
すっかり夏場の定番となった冷たいたい焼きが、
魚屋の店先の様に平置きされて安置されている。
その保冷ケースに貼られた商品告知が目に入った時、
会計口に突っ立っている輩に気付いた小母さんが駆け寄る。

早速たい焼きを注文する。
商品を揃えるまで数分掛かるとの事で此れを了解の後、
代金を支払い番号札6番を受け取り店舗脇で大人しく待つ。
調理場に並ぶ焼き型は6台でその内1台は閉じられ、
その内の1台に小母さんが焼き型に生地を落とし始める。
その後調理台に置かれたステンレスのタッパーを開け、
其処から餡を餡差しへと補充し始める。

そしてふと生鮮食品館富士ガーデンへ目を向ける。
直ぐ脇にある出入口では来客に対し、
只管お辞儀を繰り返していた店員に一段落着いた様子で、
その場を離れ店舗設備の点検作業に移る。
その間終始出入り口を向いていたレジ係も、
会計にやって来た客の一斉来訪を受け正業へ復帰し、
バーコードを読み込む電子音が引っ切り無しに鳴り響く。

そして再び「薄皮たい焼き たい夢」へと向き直り、
いつの間にか閉じられている焼き型を確認して、
先程身に飛び込んできた商品を思い出し、
改めて其れが表記された張り紙を注視する。
其処には“お餅たい焼き”なる商品があり、
本商品と共に両断されたたい焼きの姿が写されている。

餅でたい焼きとなると真っ先に思い浮かぶのは、
かの有名な“白いたい焼き”の悲しい記憶であるが、
彼方の主原料はタピオカ粉と薄力粉に卵白との事。
対して此方は本物の餅か其れに準ずる材料の使用を示す為か、
張り紙の背景には膨れ上がった焼き餅が映り込んでいる。
成程此れは製造方法の如何によっては期待が持てるなと、
偉そうに考え耽っている間に番号札6番の呼び出しを受ける。

持ち手穴が開いた紙袋を受け取り礼を述べ長居を詫びた後、
ビーンズテラスへ向かいコーヒーショップ前へ、
下り階段を下りてその段差に設えられた、
早くも襲われた買い物疲れを癒す老人達が集うベンチの、
その横に伸びるスロープ脇の植え込みの隙間にて荷を解く。

出来立てで身体中から熱気を放出するたい焼きを手にと取る。
すると指先に伝わるカサカサとした乾いた質感に加え、
皮が触れた所全てからポロポロと砂の様に欠片が零れ落ちる。
まるでコロッケでも食べるかの様な錯覚を覚え始める頃、
其れを払しょくする様に胴体に丸に夢という意匠を頂いた、
苦み走った風体のたい焼きに急いで一口噛り付く。

硬い質感の表面はザクザクという歯応えを生む位、
全体をしっかり焼き固められ其処から仄かな苦みを放っている。
一方中面は気泡を沢山形成したフカフカの食感で、
食べ進める度に口内で弾力を発揮していく。
この皮の感覚は表側の硬い焼き上がりと、
中の気泡が多めでフワッとていながらコシがある感じと、
其処に皮表面の脆さも相まって宛ら“バケット”の様である。

そんな小粋な皮に包まれた餡は水気が少なく、
モッタリとした食感の中にアズキの皮が放つ質感が伝わる。
其れをキシキシと噛み締めれば口内に忽ち広がる風味と、
力強くもクセの少ない甘味が広がり始める。
やがてすっかり水気を得た粒餡は滑らかな舌触りへ変容し、
硬めの皮との融合を果たしやがて飲み込まれる。

脆いクセにシッカリとした食感を発揮する皮を、
最後の尾びれ口に放り込んでカリカリと噛み砕く。
其処には“バケット”を通り過ぎて最早“クルトン”である。
たい焼きとしては中々に個性的な皮と、
正統派王道粒餡とのマッチングを堪能しつつ、
胸元に落ちた欠片を払い口の周りを拭いながら、
人出が増え始めたアーケードをブラブラ引き返す。

価   格○小倉あん 140円
住   所○東京都北区赤羽1-67-8
       ビーンズ赤羽 生鮮食品館富士ガーデン店内
営業時間○10:00〜21:00
 
   
  

posted by EY at 21:15| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 北区のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月28日

ばかうま黄金鯛焼 総本家【駒込@山手線】

     
 
たい焼きを買いに駒込に来た。

東口改札を出るとそこはガード下。
右に折れた先のアザレア通りのゲートを潜り、
ほんの数歩進んだ先に「ばかうま黄金鯛焼 総本家」がある。

黒橡色の板壁は今だ真新しく輝き、
そこに白地の看板と説明書きがクッキリ目立つ。
正面に開かれたガラス窓と出入り口には各々、
大きさが異なる紅色が鮮やかな暖簾が提げられている。
その和風に統一された店舗の頭上に、
「ばかうま黄金鯛焼 総本家」と記された看板を頂いている。

読み方は“おうごん”なのか“こがね”なのか分からないが、
先だって訪れた“黄金”一派とは関連はなさそうで、
何よりも“総本家”と謳っている事からもソレは窺える。

何はともあれ“総本家”。
これから新たなたい焼きの歴史がココから始まるのかと、
感慨深く人様の店舗をマジマジ眺め、
開店直後の店内へ本日一人目の客として、
脇に胡蝶蘭がポツンと置かれた出入り口より踏み入る。

奥に細長い造りの店内には3名の店員さん。
若いお兄さん方が意気軒昂な様で出迎えてくれる。
アザレア通りに向いたガラス窓に設えた焼き型前で
たい焼きを焼き上げる店員さんの視線の先に、
今まさに焼き上がり間近のたい焼きが香ばしい香りを放っている。

店内を分断する仕切りに沿って、
中ほどにはカウンターと会計口が設けられ、
アズキとザラメの見本が置かれている。
その調理場側にある保温ケースには既に数尾のたい焼きが並び、
店員さんが出荷の準備を進めている。

早速注文を願おうと紅い暖簾の向こうの店員さんに声を掛ける。
只今“開店一か月目のお客様感謝キャンペーン”との事で、
一匹無料で進呈中との事で店員さんが笑顔で商品の選択を促す。
当然に“小倉餡”をお願いする。
店員さんは数秒の固着の後に再び笑顔を取り戻し対応。
全ての準備にあと1分程度掛かりますとの事で、
壁側に並べられた木製の丸椅子に腰掛けて待つ事に。

その間に勧められたカウンター隅に置かれたお茶を頂き、
開店僅か一か月の真新しく至る所がピカピカな店内を眺める。
焼き場の店員さんが一番若い店員さんに、
そろそろ焼いてみるか?と声を掛ける。
若い店員さんは興味ありげな反応で返事を返す。
それを笑顔で眺めながら年長の店員さんが、
会計口脇で一つ一つたい焼きを丁寧に小袋に入れていく。
大変和気藹々とした新しい店の雰囲気が充満した店内は、
一種独特の雰囲気を周りに醸し出す。

それは例えるなら、
新婚家庭に不意にお邪魔してしまい何故か朝食までよばれ、
夫婦で朝食準備を始める仲睦まじい姿をボケっと眺め、
超絶的に手持ち無沙汰な状況にポツンと置かれた感。

客も自分一人だしその状況に陥るのも致し方なしと、
孤独と戯れながら店内の張り紙などを読み耽り、
“北海道産厳選小豆100%使用”や、
“直火銅窯練餡”に並んで特に異彩を放つ、
“モンドセレクション3年連続受賞 純度99.9%の鬼ザラメ”という、
未知との遭遇を果たして時間をやり過ごしていたら、
ふらりと本日二人目のお客さんとしておじいさんが来店。

おじいさんは興味深げに店内を見回して、
ココがたい焼き屋になっていた事を知らなかったと、
紅い暖簾に視線を向けて独り呟いていた。
会計口傍の店員さんはおじいさんに向けて接客開始。
しかしおじいさんは何処までもマイペースに独りごちている。

そんな中で商品の梱包を終えたのを見計らい、
カウンターへ寄り会計を済ませて商品を受け取る頃に、
おじいさんは商品の選択を決めた様子。

コチラにじっと視線を向けて佇んでいる中で、
店員さんに礼を述べておじいさんの横をすり抜けて外に出る。
すぐ先の十字路にある有名和菓子店の向かいの、
薬局の店先の配電施設上で荷を整えた後にたい焼きを手に取る。

ザラッとした触感の表面は張りがあり、
縁にはマチマチの幅のバリが取り囲んでいる。
それを指で折ってみる。
パキンと割れたソレを口に放り込む。

ガリガリと噛み砕く度に芳ばしい香りを放つ。
次いで皮に噛り付く。
グニッとした食感とモチリとした歯応えの皮は薄く、
喰らい付いて引き千切ればブチッと切れ、
乾いた外側の触感とは程遠いが多分に生き生きとした印象。

その薄くほんのり甘味が漂う皮に包まれた餡は、
しっかりと甘いのに過剰ではなく、
最初の印象のまま口内で留まって香りを放つ。
柔らかくトロリとしていながら噛み口から溢れる事無く、
何時までも皮と共にありながら、
皮に絡み付いて強烈な存在感を発揮し、
颯爽と胃袋へと退場して行く引き際の見事な餡。
この引き際が“モンドセレクション3年連続受賞”の真価なのか。

食べ終えたたい焼きの事を何時までも考えつつ駒込を徘徊後、
帰路に着くため通り過ぎた「ばかうま黄金鯛焼 総本家」前で、
店員さんが板にたい焼きを乗せ通行人に振る舞っている。
たい焼きの試食という中々珍しい光景を目の当たりにして、
その熱意で真の“総本家”となる日が来ることを切に願い、
再び駒込駅東口の細い高架下を潜る。

価   格○小倉餡 140円
住   所○東京都北区中里1-6-4 ラ・ガール駒込1F
営業時間○10:00〜21:00
 
   
  

posted by EY at 21:56| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 北区のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月08日

えびす大黒屋【十条@埼京線】

         
 

たい焼きを買いに十条へ向かった。

東十条駅南口前の道を進む。
十条中央商店街のアーケードから道は狭くなる。
その細い道をずんずん進んでいく。
花でいっぱいの篠原演芸場の前を抜け、
しばらく行くと赤いたい焼幟が目に飛び込んできた。

名前は「えびす大黒屋」。
併せて“たい焼とケバブの店”ともある。
5月14日オープンしたとの事。
店頭に貼られたメニューはイベントの出店の品揃え。
総合軽食販売といった趣。

ケバブとたい焼きの組み合わせが今風。
しかし、ケバブ屋といえば外国人が経営している事例が多い。
果たしてたい焼きをちゃんと扱えるのか。
疑念を持ちつつ店を覗くと、
至って簡素な造りの店内に日本人の御婦人が一人。
浦和のサッカーチームのポスターの中に佇む。

これなら、たい焼きへの懸念は消えた。
だが逆にケバブは大丈夫かと言う疑念も沸く。
笑顔の御婦人から、早速たい焼きを購入。
見た目からして皮は柔らかい。
手に取ると全体ふわっふわで色白。
その割に顔形は大変に彫りが深く凛々しい姿。

食べてみる。
予想を遥かに超えた柔らかさが衝撃。
これは本格的にホットケーキ系。
その中の餡は極上の甘さ。
それが、ねっとりと柔らかな皮に絡む。

これは洋風駄菓子だ。
今まで商店街で供されるたい焼きを、
散々“パンケーキの様だ”等と称して来たが認識を改める。
このたい焼きこそが“パンケーキ”である。
その上に最高の“駄菓子”である。

駄菓子に理屈はいらない。
一心不乱にかじり付いて、
熱々を口一杯に頬張れば、
すぐさま童心に還れるはず。

価   格○小倉あん140円
住   所○東京都北区上十条1-15-10
営業時間○
       
       月曜 定休
       

 
     
 
posted by EY at 00:27| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 北区のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。