東京のたい焼き ほぼ百匹手帖

2014年11月09日

カインズキッチン 町田多摩境店【多摩境@京王相模原線】

     
 
たい焼きを買いに多摩境に来た。

出入口2を出て左手の線路沿いを進み突き当たる車道を右に行き、
しばらく進んだ先の小学校の隣に広がる巨大ホームセンター、
カインズホーム町田多摩境店内にある、
「カインズキッチン 町田多摩境店」を目指す。

午前9時。
曇天で時折小雨の降る日曜の朝とはいえ駅前には人影が無い。
いわゆる“人っ子一人居ない”という慣用句が目の前に広がる。
というかそもそも駅前に建物が住宅展示場しか無い上に、
どうやらそれすら閉鎖していて所々痛み始めているのが窺える。
線路の向こう側には高層マンションが見えるのだが、
コチラ側には線路沿いに並んだ自転車置場があるのみ。

そんな何処までも物悲しい駅前を抜けて大通りへ出る。
その角地に建つ美容室と学習塾の中に人気が在るのを感じ、
ようやくこの地の人間が自分一人じゃない事を確認した後、
一路「カインズホーム 町田多摩境店本館」へ向かって歩き出す。

薄暗い日曜日の大通り。
車の行き来はあるが駅前と同様に人間が歩いていない。
道行に時々現れる飲食店や大型専門店も開店迄はまだ間があり、
薄明りの灯る店内の様子がボンヤリ窺えるのみである。
現実世界にいる事の拠り所は車道を行き交う自動車のみだが、
その心もとない交通量が途切れたら、
朝靄けぶる丘陵地の風景は途端にホラーゲームの世界を思わせ、
途端に精神は不安定になり、
ようやく訪れた通行人との邂逅さえ恐怖を覚えるという事態に陥る。

とまあそんな妄想を繰り返しながら歩き続け、
巨大に聳える小学校にデカいハサミを持った怪人の姿を探しながら、
ようやく辿り着いたカインズホーム町田多摩境店本館は、
まるで小さな空港を思わせるモダンな佇まいで拡がっていて、
その軒にはホームセンターの定番といえる園芸関連商品が並び、
周りをエプロン姿の店員さんが忙しげに行き来している。

店員さんの横を抜けて入店すると左手に広大に開けた区画があり、
そこに結構な数の卓と椅子が整然と並んでいる。
頭上を見上げれば赤い文字で“Food Court”とデカデカ掲げられ、
その一番奥には焦げ茶とレンガ模様の壁で囲まれた店舗がある。
喜び勇んでその広大な区画に踏み入ろうとする行く手を遮るのは
エスカレーターそばに置かれた2つの立て看板。
何事かと見ればソコには“開店10:00”という紙が吊るされている。

現在時刻は午前9時15分。
カインズホーム町田多摩境店本館の開店は午前9時。
御尤もな話である。
朝9時の開店直後からを食事を取りに来る奴は居ない。
たい焼きを買いに来た変わり者を除いて。

ならばこの広大な店内の何処から回って行こうかと、
入り口脇に置かれた掲示板のチラシを見る。
何せココはホームセンターという魔窟。
時間つぶしには困りはしないと意気込む客の脇を、
颯爽とおじさんが通り過ぎて行ったかと思うと、
店舗に向かい店員さんに数秒間何事か問うてから、
ニガ笑いを浮かべながら引き返して来た。

もう一人いた。
たい焼きを買いに来た訳では無かろうが、
朝9時のホームセンターのフードコートに用事がある人間が、
自分以外にも居る事に驚きと何故か喜びが湧き上がり、
ワクワクの心に拍車が掛かり軽い足取りで店内を徘徊し始める。

人が一杯いて安堵に浸りながらも、
さすがに大型ホームセンターといえど一通り見て歩けば、
小一時間程度はあっという間に過ぎて行くもので、
シメで訪れたペットコーナーで色鮮やかな小鳥達のさえずりと、
子猫の前で駄々をこね号泣する子供の叫び声を聞きながら、
どう見ても下水溝によく居る奴にしか見えない大型なネズミを眺め、
大人気という宣伝文句の元でひしめき合っているのを訝しんだ後に、
丁度良い頃合いなので“Food Court”へ引き返す。

再び訪れた“Food Court”では今まさに、
立て看板から“開店10:00”が外され様としている。
と同時に先程のフライングしたおじさんが急ぎ足で入場して、
コチラが店舗に到着する頃にはサッサと退場して行った。
そんな光景に呆気に取られた後コチラも注文をお願いする。

品が揃うまで見廻す店内はステンレス系の機材が多く清潔感があり、
店内で2名のおばさんが各々の持ち場で忙しなく作業中をしている。
大きなガラス窓に焼き物系の方が置かれ、
3台の連式焼き型のたい焼き器と2台の大型たこ焼き器が並ぶ。
主食系はやはり優遇されてるなと感慨に耽りつつ、
暖簾が下がるガラス窓から視線を会計口に移すと保温ケースが3台。
1台はカラで残り2台にたい焼きとたこ焼きが、
既にオレンジの光を浴びて準備万端。
続いて会計口に置かれたメニューを眺めラーメンの豊富さに、
この“Food Court”の役割を垣間見た所で、
おばさんがたい焼きを持って登場。
お勘定後会計口を離れひと時卓を借りて荷を整えてから外へ出る。

やっとこ涼しくなったこの季節、
当然たい焼きは外で食べるモノと急ぎ取り出すたい焼きは、
会計口のメニューにも記してある通りのふわふわ柔らか系。
出来立てなので表面には焼き目が付いてカサカサしているが、
それもすぐさま消える事は容易に想像できる。

しかしこのフンワリ系皮からは洋菓子的甘い香りは薄く、
その意味では純たい焼き的思想の元焼き上げられた皮と言える。
その証拠に口内には過度の風味は充満せず至って簡素で、
そのふわふわの食感のみがこの皮の主張と言える。

そんなシンプルな皮に包まれた餡は、
たい焼きの中央にドスンと背骨の様に入っていて、
以外に滑らかでその上アズキの粒子も十分に感じられる仕上がり。
風味もしっかりしているし甘味もクドくない万人向けの餡ではあるが、
時折舌を引っ掻いていくアズキの皮が示す存在感が、
アズキ好きには堪らないアクセントとなる。

厚くてふわふわのたい焼きを食べ終わる頃には、
曇天の遥か向こうで輝く太陽の光が拡散して、
丘陵地帯を白く浮かび上がらせる。
とはいえ駅へ引き返す道は相変わらずの人気の無さで、
しばらくひとりトボトボと街道沿いを進んで行くと、
やがて前方からベージュのトレンチコートを着た女性が現れた。
人気の無い丘陵地の街道沿いには似つかわしくない、
まるで“波止場の女”の様な様相の女性は、
立てた襟の奥で何かに耐え忍ぶ様な表情を浮かべ、
朧に明るい空を見つめながらすれ違っていった。

一体何処へ行くのだろう。
振り返ろうとしたその瞬間スルリと脇を背番号4番の野球少年が、
たった一人ユニホーム姿で駆け抜けて行く。
その次第に離れていく少年の背中で揺れる背番号4を凝視し、
いきなり現れた異なる世界観を有する余りにも両極端な人物に、
思いっきり混乱する頭がようやく言葉を吐き出す。

一体何なんだこの街は。

価   格○おぐら 100円
住   所○東東京都町田市小山ヶ丘3丁目6番地6
営業時間○9:00〜20:30
       Food Court は10:00〜19:30。
       1月1日 定休
 
   
  

posted by EY at 22:18| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 町田市のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月14日

夢ある街のたいやき屋さん 原町田店【町田@小田急小田原線】

     
 
たい焼きを買いに町田に来た。

東口を出て町田街道を右折して進んだ先、
原町田中央通り交差点辺りから幸町商店会に突入する。
その交差点を渡った先の2本目の右折路を曲がって、
ターミナルロードへ向かう途中で営業するのが、
「夢ある街のたいやき屋さん 原町田店」である。

先に訪れた「おめで鯛焼き本舗」「ゑびす黄金鯛焼き本舗」に続く、
株式会社ジェーシー・コムサ運営のたい焼き店は、
細い路地の一画に場違いな程のほのぼのした看板を掲げ、
路地に面した店頭部分に片っ端から品書きを張り付け、
三面ある引き戸の一面だけを開けて営業をしている。

店頭に立って品書きを眺めると、
既出の2店舗とは明らかに異なる品揃えが目につく。
その特徴は冷菓の品揃えの豊富さで、
今や定番の冷たい鯛焼きや王道のソフトクリームの他に、
10種類以上の品揃えを誇るタピオカドリンクが一際際立つ。

挙句このタピオカドリンクが期間限定で、
表示価格より100円引きともなれば、
この圧倒的な物量とサービスも相まって、
店頭脇に立てられた“ソーセージたい焼き”の朱い幟も
同様に本家を謳った“お好み鯛焼き”の臙脂の幟も、
今は風に虚しくはためくだけである。

そんな後塵を拝するたい焼き達の気持ちを慮るにつれ、
怪しうこそ物狂ほしけれと突如“徒然草”な心境に陥る。
そんな沈んだ気持ちを鼓舞して店内へと足を踏み入れる。

入った直ぐの正面にガラスの仕切と会計口。
ガラスの仕切の手前に冷たいたい焼きのサンプルが並び、
仕切の奥には紙の小袋がズラリと並び、
その更に奥にたい焼きの焼き型が設えられている。

今現在焼き型にはたい焼きの姿は無く、
先ずは開店準備は完了した様子。
店の大半を占める調理場にはおじさんが御一人、
入って来た客に向けて早速営業を開始する。

早速注文をお願いする。
おじさんが商品を揃える間は何時も通り店内を眺め待つ。
取り扱っているたい焼きの種類は、
先週の「ゑびす黄金鯛焼き本舗」と同様で想定内で、
矢張りソーセージのたい焼きの力強い存在感が堪らない。
ソフトクリームの品揃えも中々に豊富で、
そこいらのフードコートにも負けないラインナップである。

やがて袋に詰められたたい焼き達の準備は整い、
支払を済ませ荷を受け取りおじさんに礼を述べて外路へ出ると、
店先ではタピオカドリンクの品書きの前に佇むお嬢さん方。
一声かけて間をすり抜け向かいのTIP'Sビルのエントランスへ、
地下へ行く階段の横壁に荷を下ろし急ぎ袋を開けて、
白い小袋に包まれて尚熱気を放ち続けるたい焼きを取り出す。

ズシリと重い。
ふっくらと厚ぼったい体躯のたい焼きは、
矢張りニッコリと微笑んだ顔で、
当然身体の各々の面に“昇運”“招福”の文字を纏っている。
しかし先週の「ゑびす黄金鯛焼き本舗」と違って、
コチラの「夢ある街のたいやき屋さん」のたい焼きは、
表面がカリカリと焼き上がった皮に包まれて、
指に沈み込む事も無くパリッと張って手の中に居る。

不意に向けた視線の先、
「夢ある街のたいやき屋さん 原町田店」の店先では、
タピオカドリンクの前で今尚6人のお嬢さん方により、
白熱の論議が繰り広げられている様子である。
そんな光景を眺めながら一口齧る。
意外に皮が薄い。
それに生地自体に弾力がある上、、
表面と縁の火が通った個所はガリガリとした食感もある。
皮其の物が既に焼菓子然としている。

そして最初に感じた重みの正体、
その根源は大量の粒餡。
ふくよかなたい焼きの体内にシコタマ仕込まれた餡が、
粒立ちも良く食べるごとにはみ出してくる。
拡がるアズキの香りが鼻腔を抜けて漏れ出す頃、
粘度が高く保持力の強い甘さ控えめの粒餡が、
一斉に流れ出す事も無く皮の狭間で喰い止まり、
たい焼きの継ぎ目を破り顔を覗かせる。
零れ落ちてしまう前に食べ尽くすべくたい焼きを貪る。
惨事を未然に防いだたい焼きは尾びれを残すのみとなり、
丸ごと口の中に放り込んで余韻と残り香を噛み締める。
店頭にはお嬢さん方がタピオカドリンクを手に歓談中で、
入れ替わりで親子連れが店内へ吸い込まれて行く。
ぶり返した暑さに虚しく揺れるたい焼きの幟を眺めつつ、
秋祭りで賑わう商店街を駅へ向かって歩き出す。

価   格○つぶあん 140円
住   所○東京都国分寺市南町3-20-3 国分寺マルイB1F
営業時間○10:00〜20:30
       無休
 
   
  

posted by EY at 21:34| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 町田市のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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