東京のたい焼き ほぼ百匹手帖

2014年09月21日

薄皮たい焼 銀のあん 日野駅店【日野@中央本線】

     
 
たい焼きを買いに日野に来た。

ホームから改札へ向かう階段の踊り場付近で、
既に芳ばしい香りが漂っている。
やがて改札口手前の階段に差し掛かる頃には、
目の前右手端に「薄皮たい焼 銀のあん 日野駅店」が見えて来る。

平屋の古風な駅舎の一画にまるで専用に設えた様に建つ店舗は、
都道256号線の貫く日野駅前交差点のT字路にあり、
駅舎の屋根に乗っかった駅名を記した看板の其の軒下に、
これまた威風堂々と「銀のあん」の看板を掲げている。

その下になが〜く開かれたガラス窓には併せて、
白くなが〜い暖簾を提げた外見が最早、
この「薄皮たい焼 銀のあん 日野駅店」の店舗を、
日野駅が間借りしている様な錯覚に陥らせるに至る。

其れも此れも日野駅の古風な駅舎が、
たい焼きとの親和性を高めた挙句に、
風情ある看板と暖簾を掲げた「銀のあん」の印象の方が、
全てに於いて有利な方向へと働き、
一般的JR線の看板を掲げただけの日野駅を、
いともアッサリと上回ってしまったが為に起きた誤解であろう。

まあ、実際には旧字体で“日野驛”と記して、
軒下に小さい板看板を掲げてはいるのだが、
如何せん目立っていないという現実。

普通の駅なら券売機でも置いてあるであろう場所である。
そんな一等地を貸し出す日野駅の懐の深さに感服しつつ、
長い店舗の角にある会計口に近寄る。
その長いガラス窓に沿って並ぶ焼き型の壮観さが見事で、
おじさんとおねえさんが其の前を右へ左へと行き交う。

今「銀のあん」といえば“クロワッサンたい焼”が主力商品。
「銀のあん」と名が付けば確実に“クロワッサンたい焼”が売られ、
それが今や巷の話題となり各店舗連日の大盛況で、
それを見越してカフェ展開に方向転換をして店舗を作り変えていく程。

そんな中でも普通のたい焼きを扱うのは色々大変であろうが、
そんな意味ではココ「薄皮たい焼 銀のあん 日野駅店」は、
普通のたい焼きを求める客にとっては大変有難い店舗である。

その様な普通の“薄皮たい焼”が会計口下の保温ケースに、
ズラリと街道沿いに正面向きで直立にズラリと並んでいる。
羽根が付いている訳でも無いのに直立で並ぶたい焼きに、
かなりの関心を持ちつつ会計口前に立つ。

会計口におじさんが近づいてきたので注文をお願いする。
おじさんはキビキビとした所作でたい焼きの梱包を始める。
その間店内を眺めるとおねえさんは焼き型前に、
一人ポツンと佇み焼き型をジッと眺めている。
見渡してみると現在の主力商品たる“クロワッサンたい焼”は無い。
此れから始まるのかと興味津々で見ていると、
会計口後ろが開かれ中から一人また店員さんが現れた。

これで店内は男性2人に女性が1人。
ドリカムだな。
と、今時その表現は如何なモノかという感想が浮かび、
其の余りにも錆びついた己の思考に愕然とする中、
おじさんは商品を詰め終えた袋をコチラに差し出す。
未だに引きずる粗末な思考の後ろめたさに一人恥じ入り、
居た堪れなくなり始めたので急ぎ支払を済ませて其の場を後にする。

逃げるようにやって来たのは日野駅東口広場。
ベンチが連なるうちにある日除けに身を隠して先ずは荷の整理。
急ぎ取り出した未だ熱々のたい焼きは、
まるで軽石でも持ったような手触りの上にズシリと重い。
その蜜蝋で固めた様な外見のかなり具象性の高いたい焼きは、
流れ出た生地の形状もそのままで焼き上がり、
それは生地の粘度が高く水分量が少ないこと示している。
そんなカリカリの表面を爪で弾きながら、
日除けの端で黄色い花束を抱えたおばさんの横で齧る。

固い。
表面の其の質感たるや驚異の硬度で歯を打ち、
ガリッともゴリッともボリッと幾多の表現が可能。
それでいて噛み砕けばボロボロと容易く崩れ去る皮は、
洋菓子でも和菓子でも無い風変りな味わい。
生地自体に甘味があれば洋菓子にもなるのであろうが、
あるのは粉が焼けた芳ばしい風味とほんの薄ボンヤリとした甘味。

かと言って和菓子というには前代未聞の歯応えの皮で、
そもそもこの皮は菓子というカテゴリに成るのかどうかも疑わしい。
そうなると此の物体を“薄皮たい焼”という菓子として成り立たせるのは、
中に詰まったタップリの餡という事になるのだろう。

その全権を託された餡は水分が少ないホクホクとした炊き上がりで、
たい焼きを噛み千切れば餡がホロホロと口内に零れ落ちる。
この状態は餡を“炊いた”というよりは“蒸かした”に近い。
そして水分は最低限の量でいて甘味はシッカリとしていて、
この餡の甘味と風味によってこの物体が和菓子と判断できる。
そのくせ皮の異常な存在感が口内のアチコチで主張を繰り返し、
この組み合わせを以て此れがたい焼きであると最終確認する。

そんなたい焼きをボリボリと食べながら、
広場と呼ぶには些か手狭な空間をぐるりと眺める。
やたらと花束を持っている人が多いのは寺院が近いからかと、
斜向かい奥に見える白壁と奥に生い茂る木々を眺めながら思う。
彼岸ともなればオハギか。
確かにオハギも捨てがたい魅力があると、
買い求め彷徨う日曜日であった。

価   格○あずき 150円
住   所○東京都日野市大坂上1-9-6
営業時間○10:00〜21:00
 
   
  

posted by EY at 21:56| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日野市のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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