東京のたい焼き ほぼ百匹手帖

2015年03月07日

はせ川【一之江@都営新宿線】

     
 
たい焼きを買いに一之江に来た。

A1出口へ至る階段を上がりきったら左側へ出て、
目の前に貫く環状七号線に沿って左へ進む。
しばらくして一之江駅北交差点に到着したら左へ曲がり、
はなみずきロード一之江商店会のタイル張りされた歩道を進んだ先。
5本目の左折路にして最初の十字路を左へ曲がろうとする視線の先、
既にたい焼きとたこ焼きの幟をなびかせた「はせ川」の姿が見える。

店舗前の歩道から眺めればソコが元々ガレージある事が窺え、
広く取られたコンクリート舗装の敷地は奥で家屋と接していて、
大きく開かれたアコーディオン式門扉が両端で畳まれている。
一方には“営業中”の札と立て看板を置き店名や品書きが記され、
もう一方にはイーゼルに掛けられたポスターが建てられている。
それぞれの足元は近年吹き荒れる強風に配慮して、
ガレージ内両脇に設置された丸座布団を敷いた縁台と共に、
厳重に青い紐で重りと一緒に固定されている。

そんなガレージは周囲をグルリと蔦植物が生い茂るフェンスや、
小さな花が咲き誇る鉢植えや素焼きのプランター、
それに大小様々のピケットフェンス等のガーデニング用品で囲われ、
中程にある水栓柱と水受け以外を色々程よく目隠しされている。
その設えは全てに於いて手作り感に満ちた所謂“DIY”であり、
そのもてなしこそ所謂“at home”という空間の構築。

そんな蔦や花や蛇口にもてなされたどり着いた店舗前。
ガレージへと張り出した長い庇の下にある、
一段高い位置に設けられたアルミサッシ製の引き戸。
横の吹き付けの壁には店名「はせ川」の看板が提げられている。
そこへ至る緩やかなスロープを進み導かれた先の、
頭の上に貼り付いているのは黒く武骨なシャッターボックス。
その厳めしい堅物を華やかに飾り立てるのは、
向かって右手に簾に貼り付いた紅いたこやきの横断幕と提灯と、
左手にズラリ七福猫招きが描かれた縁起良さ気な橙色の暖簾。

鮫の歯の様に並ぶピケットフェンスに守られたサッシの引き戸は、
目隠しされた下部には品書きや商品写真等が貼られ、
猫の暖簾側をほぼ開け放ってソコに会計口を設えてある。
その奥では本来ダイニングと思しき「はせ川」調理場で、
おじさんとおばさんが切り盛りしている姿が窺える。

ガレージに立ち遮るモノの無い空間から見るその光景は、
昼食の用意をする家族の姿そのものである。
その当たり前の光景を当たり前の場所から覗く事で生じる、
何かイケない事をしている様な後ろめたさに苛まれ始める頃、
店先にボケッと突っ立っている輩に気付いたおじさんが、
スススッと会計口にやって来た事で我に返る。

早速たい焼きを注文すると開店直後とはいえ品揃えは万全で、
目下“いちごクリーム”以外なら3分以内で用意が出来るとの事。
了承して代金を支払い店先で静かに辺りを見回しながら待つ。

調理場の中央にある作業台には各種材料や調味料類の他、
ドッシリスペースを取って保温ケースが置かれ、
その中で数尾のたい焼きが寝そべりながら外を眺めている。
どうやらサッシ扉の傍に焼き型が置かれてそうだが、
位置と外光の反射でその様子を窺う事が叶わない。
僅かに会計口から垣間見えたたこ焼きは結構な大きさで、
行儀よく並んだ坊主頭の集団を彷彿とさせる光景を展開。
クルクル回りながら焼き色が付いていく様子はマスゲームの様で、
コレこそ坊主めくりだなと感心しつつ思い耽る。
やがて調理場奥で蛍光ランプで淡く浮かび上がった冷蔵庫の、
銀の扉に貼り付いた梨の妖精を見つけた所で客がやって来た。

会計口前を譲りガレージをフラフラとぶらつくと、
壁の品書きにはたい焼きは“冬季限定”と記されている。
どうやら夏場にはかき氷と入れ替えでたい焼きはお休みとの事で、
ココでもたい焼きにとって避けて通れぬ試練が待ち受けていた。

そんな運命を呪っている傍では、
昼食にたこ焼きをとの算段でやって来たらしき男女の客は、
品書きを眺め熟慮して悩んだ挙句結構なバリエーションで注文。
多種多様な条件にも怯まず機敏に対応して行くおじさんは、
千変万化していく注文を聞きながらも作業は休まず、
パックに並べた坊主頭にマヨネーズを回し掛ける。
傍から見るとコレはマヨネーズでの滝行の様だなと、
コチラも妄想に拍車を掛けている内に声が掛かる。

 たい焼きのお客様お待たせしました。

包みを受け取っていると横で女性客が呟く。

 たい焼きも買って行こうか。

その言葉を追って視線が交わる。
一瞬見つめあった客同士で静かに頷き、
荷を受け取り店には長居を詫びた後、
結局全てのトッピングを追加した事を確認して店を去る。
直ぐ先にある小料理屋脇の駐車場を陣取り荷解きをして、
袋から湯気を立ち昇らせる一尾を手に取る。
鯛の胴体中央部の手触りはフカフカとしていて柔らかく、
指先にモッタモッタとした感触を伝えつつも、
表面自体の焼き上がりはシッカリしている。
齧り付いてみるとフワフワとした食感で、
数度に渡り噛み締めればやがてモチモチとした歯応えに変わる。
そして皮という多少なりとも焼き目が付く素材なのに、
次第に喉に達するうちに滑らかな感触を発揮しだし、
最終的には皮なのか餡なのか区別が難しい代物となる。

などと云うとこの「はせ川」のたい焼きに、
タップリ込められた粒餡がまるでナマクラの様だがそうじゃない。
粘度が強く全体的にモッタリとした食べ口で、
甘味自体はシッカリして強めだが口当たりはスッキリしている。
アズキの風味もシッカリした王道の粒餡と呼べる代物である。

そもそも皮自体に強い風味が無くクセも少ない中立的風味なので、
より一層にアズキのコクと粒餡としてのキレが増してくるわけである。
そんな王道なたい焼きを最後は当然の如く、
周囲に着いたバリが軽快な音を発てて砕け、
同時に芳ばしい風味を舌に刻み付ける事で全てが終焉を迎える。

続いて2匹目に喰らい付きながら来た道を引き返すと、
芳ばしいソースの香りを漂わせ、
大量のプラスチックパックを提げた2人とすれ違う。
再び静けさを取り戻した「はせ川」の前を通りすぎ、
はなみずきロード一之江商店会の歩道に出た所でふと、
果たしてたい焼きを購入してくれたのかと、
頭からたい焼きを咥えながらブラブラ歩きつつ思う。

価   格○小倉あん 140円
住   所○東京都江戸川区一之江7丁目29-13
営業時間○[月・火・金]12:00〜20:00
       [土・日]11:00〜19:00
       水曜・木曜・祝日 定休
 
   
  

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2014年05月18日

鯛焼き処 鯛姫 小岩店【小岩@総武本線】

     
 
たい焼きを買いに小岩に来た。

総武本線のホームに降り立ち南口方面を見下ろす。
駅前のロータリーからは大小合わせて7本の道があり、
閑静な路地裏や華やいだ商店街やアーケード街など様々な趣で、
延びたり交差したり曲がったりしてそれぞれ延びていく。
そのうちの向かって左から4番目の道、
昭和通り商店街を通って「鯛焼き処 鯛姫 小岩店」へ向かう事にする。

降り立った改札前では待ち合わせをする人達がチラホラ。
目印は台座の上で威風堂々の土俵入り姿の横綱栃錦。
その差し上げた右手の皆は幾多の人々が触って行くのだろう、
そこだけキラキラと輝き異彩を放っている。
差し出された手をつかんでしまうのは人間の本能なんだろうなと、
納得して眺めた手のひらが指し示す方角が南口。

横綱に促され進み出た南口はロータリーの島に生えた樹木の葉が、
ホームで見下ろした時より圧倒的な密度で視界を緑で埋め尽くす。
その緑の壁を迂回した先にある昭和通り商店街はモザイクの石畳で、
少し進んだ先で小岩中央通五番街と鋭角に交わる。
そのX字路を“く”の字に折れた右手を更に進と街並みは一変、
普通の住宅街が多く並ぶ道の先はやがて千葉街道と交差する。
そこを右折して少し歩けば「鯛焼き処 鯛姫 小岩店」に到着である。

骨組みだけになった物悲しい軒の下に控えめな看板を掲げ、
角地に佇む吹き付け壁の若干草臥れた感じの店舗は、
通りに面した壁に各々にガラス窓と出入り口を設けている。
その周りを開店準備に追われたおにいさんが忙しなく行き交うのが、
少し離れた反対側の歩道からでも見える今の時刻は昼の12時前。
店頭に巨大なソフトクリームが出現したのを横目に、
一先ずその先のマーケットで水分補給をして時間を潰し、
やがて店頭に幟が立った頃を見計らって来店する。

街道に面した側には両引き開きのガラス窓と引き戸の出入り口。
順当に考えたら街道沿いの引き戸から入店なのだろうが、
モノがたい焼きなのでガラス窓からというのが王道。
とはいえ見遣ったガラス窓の奥にあるショーケースには、
たい焼きが6尾と明らかに商品不足の様子なので、
先ずは引き戸から店内を伺うと店内にはおにいさんが一人。
状況の確認と併せて注文をすると5分程度の待ちとの事。
無論待つので早速注文をお願いする。
その間をおにいさんは促され店内で待たせてもらう事に。

店内で飲食も出来る「鯛焼き処 鯛姫 小岩店」の、
入り口から店内へと延びるアプローチにはカウンターがあり、
そには木造りの看板がデンと掲げられている。
どうやら博多発のたい焼きらしい事が読み取れる。
そこから目線を移した先の店内には風変わりな景色が広がっていた。

濃い木目調の板張りの壁で囲まれた空間は、
海の家的建付けではあるが若干解放感に欠けた印象。
それをスペース中央に設えたダイニングテーブルで、
家庭的な雰囲気という方向へ補填している。
入り口側のカウンターからは調理場が一望出来て、
その更に奥でたい焼きを焼き上げるおにいさんの背中がチラホラ。
一方、板張りの壁には白い文字で文章が書かれている。
豚骨ラーメン屋などでよく見かける感じの演出を観るに至り、
ナルホドこれは確かに“博多”だとポンと膝を打つ。

壁一面の文章を眺め一人納得していると不意に声を掛けられる。
振り返ると街道沿いに面した窓口の前に人影。
サイクルウェアの男性が一人所在無さげにコチラを見ている。
一方コチラも突然の呼びかけに状況判断が出来ないままでいる。
見つめ合う男二人。

しばしの緊張と張りつめた空気が漂った後、
すぐさま我に返りると先ずは男性に一声断ってから焼き場へ。
そして慌ただしくやって来て急ぎ対応するおにいさんと、
あすき以外の注文を強いられる事になる男性客の、
店側視点に立ったやり取りを何故か息をひそめて静かに眺める。
幸いあずきでは無いの何某かのたい焼きを買い求め、
颯爽と去ってゆく赤いロードレーサーを見送った後、
礼の言葉を残しておにいさんは再び焼き場へ。

引き続きたい焼きを焼き上げる作業に入った数分後、
遂に焼き上がったアツアツたい焼きを持って戻って来たおにいさん。
包装、梱包した商品を受け取って支払を済ませて、
お互いがお互い礼を述べ合いながら店を後にする。
先ずはたい焼き達のサルベージ作業の場を探し辺りを徘徊して、
マンションの日掛けの軒を借りて封を開け急ぎ取り出してみる。

多少の蒸気や熱気などにはビクともしないハリとツヤを持った、
身体全体がふっくらと盛り上がり丸いながらもスマートな印象の、
色白で大きな瞳とピンと起った尾びれを持った姫が堂々の御出座。
やあやあ、吾こそはなどと独りごちてから、
まさに鎧を纏った様なさわり心地の焼き面を存分に堪能して、
既に辺りに放つアツアツの一撃を警戒して慎重に一齧り。

サクッとした外側の歯応えの後にモチッとした内側の反発が現れ、
それが断続的に繰り返された果てに一体となりモギュと発する。
この姫様は鎧の下に打掛けを羽織っておいでである。
そして胴体縁部分の角が起った部分の鋭利さは懐刀の様に鋭利で、
不用意に齧りつけば口角を血で染める事となろう。

更にその鎧の下にはアツアツの餡が口の中に躍り出るのを、
今か今かと虎視眈眈と狙っているのが伺える。
迂闊に食いつけばその熱と余す所無く広がる小豆の風味が、
口内を瞬く間に充満して隅々まで制圧していく事となる。
そして、皮の感触と対比するような柔らかさを維持しつつ、
緩さとは一線を画した塩梅の仕上がりで、
口内で再び鎧装束を纏ってお出ましになった、
凛とした澄んでいて控えめな甘さの静謐な餡が、
胃袋の中へと次々進軍して行くのを抑える手立ては最早皆無。

姫の進軍は残す所カリカリの尾びれ部分のみとなった。
北海道と福岡と東京が一致団結して送り出すたい焼き姫に、
すっかり胃袋を制圧された頃にまた再びふと思い返す。
確か「鯛焼き処 鯛姫」の本社は千葉だった事を。
調べてみれば確かに千葉県船橋市。
更に千葉まで加わった四か国連合の姫の進軍が、
荒川を越えて都心部へ来てる日が来る事を心待ちにして、
この飲み屋と銭湯だらけの街を後にする。

価   格○あずき 150円
住   所○東京都江戸川区南小岩3-7-14
営業時間○12:00〜20:00
       不定休     
 
   
  
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2014年05月11日

森沢商店【船堀@都営新宿線】

     
 
たい焼きを買いに船堀に来た。

北口から出て船堀街道を新小岩方面へ歩いて行く。
何時ぞや訪れた「甘ちゃん 日本堂」へ向かうのと同じ道。
そこからさらに新小岩方面へ向かった先に「森沢商店」がある。

とは言え再びあの距離を歩くのかと若干気持ちも鼻白む所であるが、
今回は『船堀グリーンロード』を進む事でその気持ちも変わってくる。
この緑生い茂る遊歩道を行く事で、
脇を通る船堀街道の景観や自動車の喧噪も、
濃密に植え込まれた大小様々な樹木と、
折しも吹き荒れる強風が枝葉を叩く音と供に遮断される。
時折風に煽られて今年生えてきた柔らかな新芽が、
ムチの様にしなって頭頂部を引っぱたいて行くのを我慢すれば、
あっという間に行程の半分近く進んでしまう。
あとは勢いでただひたすらに、
何か色々余地の有りそうな街並みを突き進んで行けば良い。

途中、折角なので「甘ちゃん 日本堂」の前を通ると、
5月2日から9月末まで休業する旨の通達が貼られている。
長めの夏休みに突入した麗しのたい焼きとはしばしのお別れである。

やがて京葉道路に差し掛かる手前で「森沢商店」に到着する。
煉瓦色のタイル張りの外壁に辛子色の軒が迫り出し、
そこには“たい焼・たこ焼・菓子”とある。
軒が作り出す日陰にはビールケースの上にコンテナが並び、
中にはギッシリと“せんべい”“あられ”といった米菓、
つまりは“おかき”が並べられていている。
その店頭の隅の出っ張った部分にブースらしき設備がある。
急ぎ向かう途中通る入口から垣間見た店内は一面の米菓の群れ。
言うなれば“おかきの壁”が薄暗い店内を覆い尽くしている。
その圧倒的異質な空間の情景は取り敢えず後回しにして、
たい焼きを焼いているであろう窓口へ向かう。

その区切られた一画にはガラス窓が開かれ、
その上には何かを覆い隠した形跡と並んだ赤い“たい焼”の文字と、
歩道に対面して並んだ使い込まれた焼き型と、
それを眺める厳めしい顔のおじさんが立っていた。
見た所“たこ焼”の形跡は見当たらなく、
看板の隠された部分はその名残の様である。

早速に状況確認。
これから焼くとの事で注文をお願いして待つ事にする。
その間の興味は店内に向く。
おじさんに一声かけてから向かう先は“おかき”がズラリと並ぶ店頭。
様々な米菓が並ぶ中に混じってクッキー等の洋焼菓子もあり、
商品ごとにA4版大の蛍光オレンジの値札が立てられている。
そこを眺めつつ移動しながら入口に至り、
再び覗き見る店内は棚に積まれた溢れんばかりの大量の米菓達、
まさに“おかきの壁”で覆われた洞窟。
その暗がりの窟の奥におばさんが一人、
椅子に沈み溶け込む様に深々と闇の中に座っていた。
目が合って慌てて会釈をすると、
おばあさんは暗がりの奥から柔和な笑顔を返してくれた。

若干の気後れと共にいそいそと窓口横に戻る。
すると、予想外の事態に呆けた頭を一つの声が砕く。
白髪頭の町工場風の男性客が焼き台の前に立っていた。
少しの世間話の後に注文をする。
おじさんは開店時間間際なので少々時間がかかる旨と、
たい焼きは“小倉”“チーズ”“クリーム”の三種類ある事を伝えると、
それに答えて男性客はこう言った。

『じゃあ8個。お土産で持って行きたいから3種類を…
             だいたい10分後位に取りに来るから。』

そうおじさんに告げると男性客は去っていた。
一方のおじさんは殊更気に掛けた風でもなくたい焼きを焼き続ける。なので勝手に事態の整理と予測をしてみる。

3種類を合計8個じゃ割り切れないのは当然の事。
そうなると3種類を適切に配分して計8個にする事になる。
男性客は顔馴染っぽい感じで会話を交わしていたし、
たい焼きの種類を聞いたという事は、
普段は“小倉”を注文している常連客の可能性もある。
となれば“小倉”を多めに入れて置く事が無難であろう。

だがここで男性客が発した言葉が問題となる。
そう、『お土産で持って行きたいから』というこの一言。
つまりは余所様に差し上げる物を注文した訳であるが、
これに個人が特定出来る情報が加わっていたなら、
おじさんも知っている人物と言う事が伺えるがそんな情報は無い。
挙句に語尾を濁して注文を切り上げてしまっている。
つまり未知の人物の嗜好に対する推測とその決定権を、
全て店側に一括丸投げしたという事である。
例えばこれが恒例のお使い物で毎度決まった構成ならいざ知らず、
今になってたい焼きの種類を聞いてきた事を考えれば、
正しく“ゼロからの出発”であり“未知の領域”への挑戦である。
もしかしたら男性客が忘れっぽいのか、
毎度毎度たい焼きの種類を聞くのが恒例行事なのかも知れないが。

色々あれやこれやと考えている客を他所に、
そんな状況でもおじさんは微塵も様子を変えず、
あっという間にたい焼きを焼き上げていく。
袋詰めのたい焼き達を受け取って速やかに会計を済ませると、
おじさんは男性客の注文の“解答”を焼き始める。
一体どんな答えを導き出したか興味があったが、
歩道に面したブースにへばり付いているのも何かと迷惑なので、
後ろ髪を引かれる思いで店を後にする。

「森沢商店」脇の道に並ぶ自販機横に陣取り早速に一尾取り出す。
出来立てアツアツの小ぶりな姿はオーソドックスな体型で、
特に奇を衒った事など一切無い典型的な駄菓子たい焼き。
皮を齧ればシャクリと音を発てる外側の焼き目の芳ばしさと、
フワッとした皮を噛み締めてモチリとなる内側の生地の構成も王道。
それでいて全粒粉の様な濃厚な粉の風味が口内で広がる。

その本体中央にドッシリと中骨の様に餡が入っている。
食べ進めるとネットリじわじわはみ出して来てテカテカと輝き、
ネットリとした甘味を口内の彼方此方に残していく。

満足感で胃袋を甘々と満たした頃に件の男性客がやって来た。
興味深々で物陰から店先を伺うと、
何やら一言二言会話を交わした後にたい焼きを受けとる男性客。
果たしてどんな“解答”を出したのかはここからは判らない。
もしかして何も考えずに適当に8個詰めたって事も考えられる。
しかしそれが最良の“解答”だったであろう事は、
男性客の笑顔で容易に想像がついた。

価   格○小倉 120円
住   所○東京都江戸川区松江1丁目8-19ハイム松江
営業時間○10:30〜19:00(売切次第終了)
       日曜 定休     
 
   
  
posted by EY at 00:02| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 江戸川区のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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