東京のたい焼き ほぼ百匹手帖

2014年08月17日

天狗茶屋 清瀬店【清瀬@西武池袋線】

     
 
たい焼きを買いに清瀬に来た。

北口に向かう。
大手スーパー2階に直結のペデストリアンデッキに至る手前、
左折して階段を下りれば駅前ロータリーに出て右折。
ズラリ建ち並ぶ店舗の一画に「天狗茶屋 清瀬店」がある。

真正面から店舗を捉えれて見ると、
ロータリーに面して2つの天狗が並んでいる。
同等に2分割された一方は歩道に直に面していて、
陽光を反射して輝く瓦造りの軒が歩道に迫り出している。
通りに面した正面ガラス窓には紺色の暖簾を提げて、
総じて和風の落ち着いた印象を醸し出しながら、
尚且つ明るい印象を失わない店頭の造り。
ソコににドッシリと「天狗茶屋」の居た看板を頂き、
更にその軒の上にある建物壁面に青い看板を設え、
シッカリと“たい焼・たこ焼”と記してある。

一方、もう半分側にも同様に掲げた看板は地を墨色に塗られ、
クッキリと“らーめん・つけ麺”と記してある。
その看板の下は奥まった造りで陽光が十分には届かず、
薄暗がりの中で白い暖簾と白木の看板が浮かび上がり、
そこに記された「天狗麺房」の墨文字を引き立てる。
入り口のガラス扉奥の店内は薄ボンヤリと明りが見え、
夏の強烈な陽光に抗えないままガラス扉に、
只々漫然と外の景色を反射している。

陽光を浴びて輝く「天狗茶屋」と陰りの中に佇む「天狗麺房」。
印象深い対比は光と影、
若しくは陽と陰となって通りに映える。
そして一帯を陽の「天狗茶屋」の波動が浸食してゆく。
こうなると幟を何本立てようとも覆すのは容易ではなかろう。

その上「天狗麺房」の店先は「天狗茶屋」関連の装飾で固められ、
「天狗麺房」へ赴くには「天狗茶屋」の支配下を通り抜けるハメとなる。
出入り口へ至る道筋の両脇には縁台が置かれて、
恐らく“たい焼・たこ焼”の焼き上がりを待つ客の為、
あるいはその場で食べる為の配慮の一環と見て取れる。

多大な寵愛を受け輝く「天狗茶屋」。
それ傍らで静かに佇む「天狗麺房」。
昭和文学に在りがちな姉妹像の様な境遇を勝手に想像して、
天真爛漫な妹といった風情の「天狗茶屋」へ赴く。

購入窓口は「天狗麺房」の出入口方面で、
エントランス的ともいえる空間にある。
そちら側もガラス窓に紺色の暖簾が提げられている。
会計口には保温ケースが設えられてあり、
その上部に開かれた窓越しに注文のやり取りを行う。
既に保温ケースには各種たい焼き達が寝そべっている。

店内の調理場ではズラリ並んだ各種焼き型の前で、
おねえさんがたこ焼き造りの真っ最中。
素人目にも判る程の手際で次々と丸い物体が製造されて行く。
そんな光景に見とれているとおねえさんが、
お決まりでしたら承りますと声を掛けてくる。
たこ焼きに付きっ切りのおねえさんを見遣りながら、
お言葉に甘えて取り敢えず注文をお願いする。

はい少々お待ちください。
と、「天狗麺房」に繋がる調理場の奥から、
数多並ぶ銀色の設備や器具が造りだす暗がりの奥から、
銀色の御髪のおばさんがユラリと現れて返答する。
銀色の空間に佇む銀髪のおばさんの立ち姿は、
まるで映画で観たステルス迷彩の様だった。
ニッコリと微笑んだおばさんは、
悠然とたい焼きを袋に次々詰め始める。

待ち時間を埋めるべく辺りをぐるりと見渡す。
控えめな氷の吊下旗がクルクルと回る軒先。
反対側の壁に吊るされた懸垂幕には、
3項目の“おいしさの秘密”が記されてあり、
別に記された“あんこ一徹”の文字に期待が高まる。
しばらくして用意された商品を受け取り、
おばさんに代金を支払い重ねて礼を述べて店を後にする。
その頃には店先にはたこ焼きの芳しい香りで溢れていた。

ズシリと重いたい焼きを抱えで行き着いた先は北口階段脇。
階段と交番との間に空いた隙間。
そこにあったちょうど良い高さのコンクリート。
そこで荷を整えながら一休みする。

早速に取り出したたい焼きはふんわりと柔らかい。
“おいしさの秘密”によれば玉子と蜂蜜をたっぷり使ったとの事。
甘く柔らかな馴染み深い香りが袋の奥から立ち込めてくる。
焼き上がりからどれ程経過したか判らないが、
これは焼きたてもそれ程変わりが無い様な皮の触感である。
その事は“おいしさの秘密”に記載された項目にも明らかである。
時間が経っても柔らかな皮を目指した秘伝の生地らしい。
ふわふわとした皮が口の中で心地よい噛み応えとなる。
クニクニと奥歯で噛み締めれば更に甘味が口内に拡がる。

さてもう一方の主役たる餡はと言えば、
滑らかな舌触りと程よい水分を保持した丸い甘味の仕上がり。
度々引用する“おいしさの秘密”には“上盆低糖あん”とあり、
詳細は不明ではあるが甘さ抑え目という事は何となく伝わる。
粒餡でありながら漉し餡の様な滑らかさを醸し出す餡が、
その小豆の粒立ちもシッカリとしたままタップリ収まった結果、
柔らかな皮と滑らかな餡の融合した、
優しいたい焼きの出来上がりである。

一見すれば何処にも在りがちな姿のたい焼きも、
造り手が変われば其処に個性が生じてゆくモノである。
そんな事を痛感した交番脇のひと時。
警邏帰りのお巡りさんの視線を一針に浴びながら、
2尾目のたい焼きに手を伸ばす。

価   格○小倉 130円
住   所○東京都清瀬市元町1-2-7
営業時間○10:00〜21:00
       無休 
 
   
  
posted by EY at 22:10| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 清瀬市のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月21日

薄皮たい焼き たい夢 清瀬店【清瀬@西武池袋線】

     
 
たい焼きを買いに清瀬に来た。

南口に出て駅前をぐるり見渡す先。
車道を歩行者がかなり自由に行き交うロータリーの、
向かって右手奥の薬局横から延びる南口ふれあいど〜りを行く。
祝日の朝10時過ぎの商店街には自動車の気配は無く、
コチラも歩行者が縦横無尽に行き交う。
そうして辿りつく十字路の急に道幅が細くなる行き先の角に、
ポツンと「薄皮たい焼き たい夢 清瀬店」がある。

タイル張りの建物の一階部分、
掲げた大きな看板の下に半間程の出入口を開け佇む。
その小さくポッカリと空いた穴の一方は、
テナント募集中の2階部分へ至る階段となっている。

ならばもう一方へと歩み出るとそこはガラス窓で、
涼しげに簾と朝顔を提げて夏物の品書きを並べ、
全体を木調で統一して飾り立てている。

この窓から店内を窺う事は可能だが、
肝心のたい焼きの売買をする事は出来る様子は無い。
焼き型が並んだ調理場ではおねえさんが作業の真っ最中で、
コチラに気付く様子は無く焼き型を注視している。

ナルホドそうなると先程の小さな入り口こそが
ココ「薄皮たい焼き たい夢 清瀬店」の正面玄関という事になる。
ましてやチェーン店としての一般的な認識の、
埒外な外観は新鮮な驚きである。
ここまで控えめなたい焼きチェーン店は、
中々お目にかかれるモノでは無い貴重な事例と言える。

などと一頻り感心した後に再び十字路の中央近くに戻り、
たい焼き屋の割にやたら目立つ“かき氷”の幟と、
南口ふれあいど〜りの街灯の柱の陰に隠れ、
その性能を思いっきり発揮できていない電光掲示板を従た、
そこはかなく理容業界を思わせるクールな品書きと、
その一方で商品に対する拘りを高らかに謳う口上と挿絵で、
存分にたい焼き屋らしいポスターに挟まれた出入り口を潜る。

想像より広い店内は正面奥に調理場があり、
前面をガラスで仕切られた一画に会計口を設けてある。
会計口横にある保温ケースがあり、
既にたい焼きが数尾並んで何時でも出荷OKの状態。

一方、店内向かって右手に置かれた冷蔵ケースには、
夏季の定番商品として今やすっかりおなじみの、
冷たい“夏鯛”がギッシリと並べられて、
コチラも当然いつでも販売出来る状態でいる。

さて肝心の調理場を眺めてみると、
焼き型は閉じられていて現状は窺い知れない。
夏場だけに保温ケースの品揃えで一先ず小休止かも知れないし、
何よりさっきまで居たおねえさんがいらっしゃらない。

開店早々ではあるが一段落付けて休憩だろうか。
まあ、直ぐにお見えになるでしょうし、
一声かければ事足りる店の規模である。
ここはのんびり店内を流れている微かに聞こえる、
呪文の様なたどたどしい歌を聴きつつ品書きを眺めるとしよう。

などと考えた矢先に会計奥のカーテンから弾かれる様に、
勢いよく颯爽とおねえさんが現れた。
瞬間コチラき気付き少しビクッっとする。

そりゃこんな胡乱な輩がヌボーっと立っていたら誰でも驚く。
未だ緊張を解かずコチラを注視するおねえさんを見遣り、
無害である事も併せ極力優しい声で注文をお願いする。

マジマジと見ていたおねえさんに漸く客と認識した様である。
ハキハキと明瞭な声と取り戻した営業スマイルで対応。
キビキビとした動きで閉じられた焼き型を解放して行く。
モクモクと蒸気を上げて小麦色のたい焼きが姿を見せる。

カリカリに焼かれたたい焼きの表面がツヤを発し輝く。
パキパキとバリが砕けるたい焼きが次々に引き上げられる。
テキパキと袋に詰めたたい焼きを会計口で受け取る。
サクサクと会計を済ませておねえさんに礼を述べて店を出る。

ワクワクとする心の一方でふと保温ケースを見て思う。
ゾロゾロとならんでいるあのたい焼きの中身は何なのか。
トロトロの“うふクリーム”かも知れない。
ホカホカのうちに売れる事を願うばかりである。

すぐ横の階段の脇で早速たい焼きを取り出す。
焼き立て出来立てのアツアツたい焼きは持ち所に難儀する。
数枚のバリを犠牲にして手に収まったたい焼きは、
案の定カリカリとした表面の皮の感触が熱とともに指に伝わる。

早速に一口齧りつけば其処には油分の全く無い、
予想以上にサクサクでパリパリに仕上がった皮があった。
そして期待どおりの薄い焼き上がりでたい焼きを形成しているが、
結束は強く中の餡をシッカリと保持している。

その「薄皮たい焼き たい夢」自慢の餡はネットリしているが、
口内で伸ばしてゆくとサラリと滑らかな舌触りとなる。
チュウと吸い取れば鼻腔にまで漂う小豆の風味と、
甘さ控えめと言っても中々に甘いが嫌な後味が食べた後に残らない。
風味と食感が存分に満喫できる炊き上がりである。

もはや歩行者天国の様な通りから親子連れが店内を窺っている。
幼児は興味をそそられた様で頻りに父親の顔を仰ぎ見る。
先を急ぐ様子の父親は幼児を急かすが幼児に動く気配は無い。

帰りに買おうね。

一悶着あった後にその言葉を引き出すことに成功して、
幼児は満足気な最高潮のテンションと満面の笑顔で、
よちよち歩きで店先から離れて行く。

未来のたい焼き愛好家を清瀬の地で発見して、
たい焼きの今後に明るい希望を見出した祝日の朝、
久しぶりに拵えたヤケドを気にしつつ、
駅を目指し未だ自動車の往来を見ない南口ふれあいど〜りを往く。

価   格○小倉あん 130円
住   所○東京都清瀬市松山1-27-11
営業時間○10:00〜20:00
       無休  
 
   
  
posted by EY at 22:02| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 清瀬市のたい焼き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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