東京のたい焼き ほぼ百匹手帖

2015年11月29日

薄皮たい焼き たい夢 練馬駅前店【練馬@西武池袋線】

     
 
たい焼きを買いに練馬に来た。

北口方面から出ると駅前にはロータリ―が広がっている。
左手には2014年に出来た複合施設のビルが建ち、
駅ビルとの間に細い裏道を作り出す。
その小路を進むと千川通りへ合流する道が、
高架の下を通り貫いている。
信号の無い横断歩道を注意深く進み、
駐輪場の右手にある線路沿いの道に入った直ぐに、
薄皮たい焼き「薄皮たい焼き たい夢 練馬駅前店」が営業している。

駅前高層ビルと西武池袋線の高架に阻まれた店舗には、
朝方は日光が射しこむ事は無い。
しかし駅前ビルの1階に開かれた店先には、
お馴染み「薄皮たい焼き たい夢」の小豆色の看板と庇が、
日陰で青味を帯びた景色の中で鮮やかに映える。
軒下に連なる店舗全面に広がる窓ガラスと、
その下の腰壁には品書きや告知が沢山張られている。

店内には現在店員さんが1人で切り盛りしている。
店頭に立つ小さなソフトクリームと並んで、
向かって右端にある暖簾の下にある会計口に立つ。
ふと窓に貼られた“おしながき”に隠れた保温ケースを見る。
今現在ケース内にたい焼きの姿は無いが、
店舗奥の調理台に置かれた笊に数匹のたい焼きが寝そべっている。
会計口にやって来た店員さんに注文をお願いすると、
焼き台を見て焼き上がりの時間を告げられる。
釣られて見る焼き台の上には閉じられた姿の焼き型から、
垂れ零れた生地が砂色に焼き上がっているのが見える。
了承して代金を支払ったら後は待つだけと、
全ての焼き型が見渡せる店舗左端へ移動する。

巨大な構想建造物に阻まれた高架脇の道は、
さすが駅そばと言う事もあって車の行き来はあるが、
昼前の休日にしては歩行者の人通りは疎らである。
それに加えて道幅が広いので店舗前をウロチョロしても、
通行人の邪魔に生り辛い周辺環境に託けて具に観察する。
店舗前の店内に6連式の焼き型が5台あり、
今は全ての焼き型に熱が入れられている状態である。
焼き上がったたい焼きは一旦笊にあけられ、
綺麗に周囲のバリを化粧裁ちされた後にケースに並べられる。
その中には焼き上がった後に表面へ真白な粉糖をふるうわれ、
化粧を施されるという手間の掛かるたい焼きまである。
今流行りのデニッシュ生地系のたい焼きは、
此処「薄皮たい焼き たい夢」では独自開発したパイ生地を使い、
その名も“Pie Yaki 〜パイ焼き〜”と称され販売している。

店先でたい焼きが焼き上がるのを眺める客の姿に加えて、
やがて歩道には芳ばしい香りが広がり始める。
店の前を通り過ぎる人々の視線も次第に集まり始め、
視線を誘導した後は進行方向を転換させる。
会計口に集まったら数多の品書きを眺めて相談を始め、
今の気分と相手の選択との兼ね合いで餡を決定する。
その間傍で見ていた客は只管“小倉あん”と念じていたが、
思い思いのたい焼きを購入して笑顔を湛え再び歩みを始める。

やがて接客を終えた店員さんが焼き台へ赴き、
暫く閉じられたままだった焼き型を一気に開く。
焼き上がったたい焼きは流れ出た生地もそのままに、
思い思いのバリに囲まれたまま6匹仲良く並んでいる。
それを寝坊した子供達を叩き起こす様に、
結構荒っぽい所作で店員さんは切り離していく。
わらわらと焼き側の上で独立するたい焼き達の姿は、
何故か漁船水揚げされた鯛の様に落ち着きが無く見えて来る。
一方で店員さんが駆使するその手捌きに、
此処までに培ってきた職人的な流麗さと、
母親が愛しい我が子達に向けた深い愛情を見る。

焼き上がったたい焼き達を袋へ詰めて、
一通り注意事項を窺った後に服を受け取る。
礼を述べた後に店を離れて、
立ち昇る熱気を拳に受けつつ巨大建造物を迂回する。

向かった先は練馬区立練馬文化センター。
蚤の市で賑わう前庭の先にある練馬駅に直結した、
ペデストリアンデッキに向かう階段横の植え込みに陣取る。
既に漏れ出ている熱気を掻き分けて、
焼き立ての皮が高熱を放射し続けるたい焼きを手に取る。
スッキリとした姿をした少し小振りなたい焼きは、
身体の中心に一本の縦縞がぼんやり浮かんでいる。
そんな熱帯の海に泳いでいそうな姿のたい焼きに噛り付く。

胴体中央部分の皮は薄く焼き上がり、
透明感があってサクサクと音を発てて砕ける。
中心部から背鰭や腹鰭方向へ進むと皮は厚みを増し、
中の生地は青味を帯びた白色部分が覆い始める。
やはり透明感がある生地はモチモチしていて気泡も多く、
宛らイングリッシュマフィンを彷彿させる食感である。
やがて閉じ口辺りで焼き固められた生地が苦みを帯びて、
比較的サッパリとした風味の皮にアクセントを加える。

中の餡子は水気が少ないが肌理が細かく、
モッタリと重い食べ口で口内へドカッと押し入ってくる。
滑らかに舌で伸びて行く途中では、
アズキの皮がツルツルと滑り落ちて行く感触が現れる。
サッパリした甘味は口内に一気に広がり、
隅々に染み渡る頃にはアズキの風味が鼻腔へと抜け始める。

澄み渡る青空の下で食べる縞模様のたい焼きは、
紺碧の海を泳ぐ黄金色の熱帯魚の様である。
確かに紙袋の中だけは熱い空気が満ち溢れていて、
たい焼き達もさぞや居心地が良かろう。
だがその極楽の地もやがては寒く冷え切って行く。
其の前に平均気温36度5分の常夏の地へ誘う為に、
急いで黄金色の2匹目を手に取るのだった。

価   格○小倉あん 140円
住   所○東京都練馬区練馬1-12-11 キョーリンビル1階
営業時間○11:00〜22:00
 
   
  

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2015年11月22日

けんたろう3000.com【久米川@西武新宿線】

     
 
たい焼きを買いに久米川に来た。

駅北口から出ると目の前はロータリーが広がる。
左手へ目を向けると緑色の鉄筋で築かれた、
久米川駅前パーキングの巨躯が見える。
交番前の横断歩道を渡り、
新青梅街道と交わる通称北口交番通りへ出る。
歩道脇にあるパーキング上階へ至る階段の下に空いた、
僅かな場所でケバブ販売店と寄り添って建っているのが、
お目当ての「けんたろう3000.com」である。

合板製の壁にはアルミサッシのドアを設け、
トタン屋根の上に大きなタペストリー看板を掲げている。
階段二本分の幅に身を潜める様に建っている店舗は、
広さは恐らく6畳位の大きさだろう。
其処をケバブ店と2分割して
車道は勿論の事ながら歩道にもはみ出さず、
立て看板や幟が立て営業をしている。
その横に接したパーキング敷地内の小部屋の前に、
小さな縁台まで置かれている。
そもそもこの場所は商用地なのかと疑問を持つが、
交番の目の前で商売しているなら問題ないのだろう。

そんな事を考えながら店舗の近くまで行く。
営業時間までは少しあるが窓は開けられ店内は明るい。
パーキングの階段入り口横にある窓には保温ケースが置かれ、
裾壁には品書きが隙間無く貼られている。
軒下に赴き店内を窺うと中はケバブ店と繋がっていた。

このケバブ店は久米川はもとより、
東村山界隈では名の知れた名店である。
パキスタン人のご店主が切り盛りされている。
先刻予想した通り約6畳間程の空間に、
商業用の結構大きなシンクや調理器具が置かれている。
なので店内の可動域はかなり少なく、
行き交える程のスペースは人ひとり分がやっとである。
当然たい焼きの焼き型も6連式が3台設えられ、
今は2台が稼働している様子である。
その前に立って温度の確認を繰り返しているのは、
穏やかな笑顔を湛えた恰幅の良い外国人の方が一人。
当然この方がケバブ店のご店主であるが、
一方で店内に「けんたろう3000.com」的な雰囲気は無い。

取り合えず笑顔のままコチラを見つめるご店主に、
本日のたい焼き販売について伺ってみる。
ご店主はたい焼きの焼き型に手をかざし、
少し時間が掛かる旨をカタコトの日本語で返してきた。

「10プンクライカカリマス。」

成程あと10分もすれば「けんたろう3000.com」の責任者が現れ、
たい焼きの販売を始めるのであろう。
了解してその時が来るのを待とうと店先に立っていると、
背後の冷蔵庫から材料を取り出して此方を見て、

「ナンコヤキマスカ?」

その途端に好奇心が急上昇して臨界点を突破する。
もしやと思っていたことが現実となり、
急いで必要数を告げて宜しくお願いしますと念を押し、
期待に胸を膨らまして店内の焼き型に視線を送る。

外国人のケバブ屋さんがたい焼きを焼く。
サッと焼き型に油を馴染ませてた後に、
慣れた手つきでチャッキリを扱い生地を落とす、
パキスタン人のご店主が醸し出す静かな佇まい。
対して其の世にも貴重で稀な現場が目の前で行われ、
その非日常的光景を目の当たりにして、
ワクワクが止まらずにニヤけた顔で焼き型周りを凝視する客。

流し込まれた生地に続いて餡差しに餡子を詰めて行く。
その堂に入った澱みの無い所作を眺め、
此れは頻繁にたい焼きを焼いていらっしゃると想像する。
餡子を詰め終えたご店主はサクサクと餡子を切り分けて、
焼き型に満たされた生地の上に餡子を次々乗せて行く。

しかしその量が多い。
遠目から見たなら“ぼた餅”があるみたいに、
濃い赤紫色の塊が白い海にドスンと置かれている。
餡子好きには堪らぬ絶景だが冷静になって考えると、
あんな大量の餡子が全てたい焼き内部に納まるのか、
多少不安になってくる位大量である。

そんな心配を余所にご店主は焼き型の反対側へ生地を落とす。
そして一呼吸あって焼き型の握りを手に取り、
直ぐに躊躇なくバタンと焼き型を閉じた。

早い。
閉じ口からダバダバと生地が漏れて、
アルミホイルで覆われた焼き台の下へ零れ落ちる。
生地自体に粘度があるのか漏れ出た量は思いの外少ないが、
その代わりに濃い赤紫色が所々でウニューっとはみ出す。
焼き型の縁で徐々に白く乾き始めた餡子を眺め改めて思う。

矢張り納まりきらなかったか。

とはいえ閉じてしまえば後は焼き上がりを待つだけである。
生地と餡子が焼ける甘く芳ばしい香りが通りへ漂い、
焼き型に沿って垂れて行く生地の色が徐々にキツネ色に変わる。
その間ご店主に代金を支払い“ケバブ”の質問をしつつ、
のんびり世間話をしながら待つこと数分でたい焼きが焼き上がる。

焼き上がった6連式のたい焼き達は繋がっていて、
ご店主がトングで端を摘まんで持ち上げると、
6匹全てがズラリと揃って持ち上がる。
焼き型に沿って垂れた生地も焼き型から離れて、
余剰した広大なバリ部分の端に、
L字型となった立体的な形を作り上げる。

次にご店主は繋がった6匹のたい焼きを、
片手に持った鋏でたい焼きを切り分けて行く。
蒸気の向こうでジョキジョキ切り分けられるたい焼きは、
まるで焼肉屋の網の上で捌かれる骨付きカルビである。
ケバブ屋でたい焼きを骨付きカルビの様に扱うという、
予想もしなかった混沌とした光景を目の当たりにする。

大雑把に切り分けられた羽根と呼ぶには広大すぎる、
身体と変わらぬ大きさのバリを携えたたい焼き達が、
次々に焼き型の上へ無造作に置かれる。
ご店主はそのラフにカットしたたい焼きをトングで摘まむと、
手製のひし形の穴が幾つか開いた紙袋の中へ、
巨大な“羽根”が付いたままのたい焼きを入れ始めた。

化粧断ち一切ナシ。
焼き台に沿って垂れた立体的なL字部分もそのまま、
ありのままの姿で余す所無く詰め込んで行く。
予想を超えた大らかさである。
そんな凡そたい焼きが入っているとは思えない、
ゴツゴツした紙袋を手提げ袋に入れて手渡される。

長居を詫びて礼を述べご店主の笑顔に送られ店を後にする。
そのまま久米川駅前パーキングを横切り、
新青梅街道から別れた側道に面した壁に陣取り荷を整える。
ゴツゴツした紙袋から取り出したのは、
たい焼きと云うより鯛のワンポイントが付いた、
巨大で高温でしかも非常に重たく、
それでいて薄くてとても脆い“瓦煎餅”である。
指先のカリカリした触感は簡単にひび割れ、
紙袋の中へバラバラと音を発てて落ちて行く。
何はともあれ先ずはその広大なバリから始めるしか無く、
ガブリと噛み付くとザクザクと砕けて弾け飛び、
少し厚めに作られたモナカの皮的な乾いた歯応えが伝わる。
その食感の所々に芳ばしさが加わり、
より一層の歯応えを造り上げている。
断面を見ると3層構造になっていて、
はみ出た餡子が皮の生地に挟まれ押し潰されて、
焼き固められた事により餡子内蔵の“羽根”という、
予想外の副産物を生み出している。

其れを超えた所に在るたい焼き本体を覆う皮は、
連式にしては薄過ぎる焼き上がりになっている。
押し出される程に餡子が入ったたい焼きであるから、
当然の事であるが皮は薄い事は想像出来たが、
此の薄さは一丁焼きすら超えた存在である。
誤解を恐れず云うならば、
餡子に着いたカサブタといった風情で、
皮にあって然るべき柔らかい部分が無い。

その餡子は粘りがあしながらも滑らかな舌触りで、
甘さが控え目でありながらアズキの風味は豊か。
ドッシリ重たい口当たりで粒立ち舌を転がる仕上がりで、
後味もサッパリとして残り香の優しさが口内を撫でる。

そんな上等な餡子が隅々までミッシリと詰まっている。
それどころか皮の間にまで入り込んでいるのだから、
たい焼き全体からアズキの風味が漂うのである。
皮自体にもほんのりと甘味があって、
当然粉の風味もしっかり備わっている。
加えて焼きの度合いによって苦みも加わって、
広大なバリの至る場所で様々な味わいが体験できる。
結果として他に類を見ない味わい豊富で、
突き抜けた個性を持ったたい焼きを造り上げているのだ。
はり既成概念を破壊するのは広い視野なのだろうと、
回転すればフワフワ浮遊しそうなたい焼きを見て思う。
東京が誇るたい焼きのグローバル化は郊外から始まると、
豪快で広大で物凄いたい焼きと出会い思うのだった。

価   格○小倉あん 140円
住   所○東京都東村山市栄町1-2-1
営業時間○11:00〜21:00
       水曜 定休
 
   
  

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2015年11月15日

鳴門鯛焼本舗 四谷3丁目店【四谷三丁目@東京メトロ丸ノ内線】

     
 
たい焼きを買いに四谷三丁目に来た。

3番出口から向かった先は目の前には、
新宿通りと外苑東通りが交わる四谷三丁目交差点がある。
左手を見ると遠くには新宿御苑の樹木が見える。
其処を目指して進むとやがて辿り着く左折路の先に、
一丁焼きのたい焼きチェーン店でお馴染みの、
「鳴門鯛焼本舗 四谷3丁目店」がある。

開店間際の午前10時の日曜日。
悪天候も重なり新宿通りの歩道は人通りが少ない。
新宿通りに面した軒を連ねた細長い建物群の中で、
可能な限りの種類を集めた看板を一斉に掲げ、
道端には幟や行燈看板を設えた店舗がある。
その軒先から伸びた庇部分には木製看板と瓦屋根で、
存分に彼の「鳴門鯛焼本舗」的印象を醸し出している。
比較的新しい筈だが抜かりなく古びている店は今、
半分だけ上げたシャッターを全開にして、
本日の営業開始を高らかに告げる。

漆黒の壁と濃い焦げ茶の木枠で縁取られた壁面と、
長い暖簾が提げられた大きく開いた窓が現れる。
オレンジ色の明かりで満たされた店内には、
店員さんが1人で焼き型の準備に忙しい。
ガチャガチャと響く焼き型の転がる音を聞きながら、
店先に近づいて焼き台の上にある網を見る。
開店直後だけあってたい焼きの姿は見当たらない。
そのまま会計口へ行き店員さんへ注文をお願いする。

焼き上がりまでの時間を確認後に代金を支払い、
新宿通り沿いのガードレールに腰掛け作業を眺める。
注文を受け直ぐ店員さんは焼き台へ向かい、
置かれた全ての焼き型の確認をする。
其処から選び出した焼き型へ生地を丁寧に乗せて、
次に餡差しから掬い取った餡子を手際良く置き、
更にその上へ生地を乗せ焼き型を閉め焼き台へ戻す。
その一連の作業は少しの澱みも無く流れる様に行われ、
次々入れ替わる焼き型たちが奏でる衝突音が歩道へ響く。
開店して間もない店でありながら、
その手捌きに澱みは無く完成された“型”其の物である。

やがて歩道には人出が増え始める。
軒を連ねる商店や店舗は店先の掃除を始め、
駅から出て来た人々は緑豊かな国民公園の方向を目指す。
その道の途中にあるたい焼き屋は宛ら、
街道沿いで旅人に憩いを与える旅籠か茶屋である。
高らかに響く音はやがて道を行き交う人々の視線を集め、
追って漂い始める芳ばしい香りは店先へと足を誘う。

やって来たカップルは相談を経て注文を済ませると、
来た道を戻りコンビニで時間潰しを計ると見える。
複数の家族連れの集団は視線で確認後に、
帰路での購入を検討しながら去ってゆく。
幼い子供は音と香りに興味津々となり、
その横で母親はたい焼きという食べ物の説明を始める。
ポケットの小銭を確認しながら視線を向ける旦那と、
購入は帰り際で良いと手を引き諭す奥方の後姿を見送る。

経験上開店直後のたい焼き屋周辺で興味を示す際に、
此処「鳴門鯛焼本舗」の様な純菓子系たい焼き屋も、
“お好みたい焼き”等の食事系たい焼きを扱う店も、
大概は皆一様に本来の目的を済ませた後、
改めて購入を検討するケースが多い物である。
確かに時刻は朝の10時過ぎであり、
一般的な間食にしては少し早い時間帯である。
それでも購入意欲をそそらせるたい焼きという存在に、
味来に向け大いなる希望の光を見出した気分になる。
そんな事を考えながら遠くに見える豊かな緑を眺め、
一丁焼きの焼き型が奏でる心地よい音色に耳を傾ける。
そして漂う芳ばしい香りに身を委ねながら改めて思う。
四ツ谷には一丁焼きが良く似合うと。

やがてたい焼きが焼き上がる。
愛らし箱に詰められたたい焼きを受け取り、
長居を詫びつつ礼を述べ店を後にする。
駅へ戻る手前の右折路へ入り直ぐ現れる左折路を進み、
途中にあるコインパーキングで荷を整える。

手に取ったたい焼きは立派な尻尾を持った、
つるりと丸い顔つきで見事なキツネ色に焼き上がっている。
皮の指触りはカサカサと乾いた感触で、
そっと持たないと簡単にヒビが入ってしまう位に薄い。
噛り付くとサクサクと軽い歯応えで砕けて、
生地からほんのりと甘味が漂い出す。
一方内側は蝋細工の様な透明感を保ち、
水気もあって潤いも豊富でモチモチの食感を湛えている。
パリパリとモチモチのコントラストが終始続き、
尻尾の先に至るまでその食感が曇る事は無かった。

餡子は粒餡で水気が多くサラリとした口当たりで、
アズキの粒感がシッカリ残っている。
だが口に入れて押し潰すと簡単にぺしゃんこになり、
後には滑らかな舌触りとアズキの種皮が奏でる、
シャキシャキした歯応えがあるだけである。
甘味はシッカリ付いていてアズキの風味も豊かに香る。
口内で何時までも残る優しい後味と鼻腔を漂う残り香が、
皮の歯応えと共に舌の先から脳内るまでしっかりと刻まれる。

一丁焼きに拘り其処に向けての努力を惜しまない姿勢は、
逐一目を光らせ焼き型内のたい焼きを確認する作業や、
焼き色や焼きムラの状況を観察する過程に現れる。
昨今の大手たい焼きチェーン店に見られる薄皮回帰の風潮は、
此処「鳴門鯛焼本舗」からの触発なのではなかろうか。
そう感じさせる程其処には効率を度返ししても、
一丁焼きで薄皮たい焼きを焼き上げ続ける断固たる意志と、
揺るぎ無い強い決意が表れていると感じさせるのだ。

価   格○黒あん 160円
住   所○東京都新宿区四谷3-13-13
営業時間○10:00-22:00
       無休
 
   
  

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